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(カゲプロ・カノ・年上ヒロイン)
まくら
「まくらって苦手なのよね」
開口一番に彼女はそんなことを言った。ポツリと何かを思い出しているのかそれともただ感覚的な何かが口の端からこぼれ落ちたといったような物言いだった。
素朴な疑問を言っただけなのに真剣に悩み答えてくれた彼女のおでこにちゅ、とキスを落として「ふぅん」と興味深そうなため息をこぼす。
キスをした時にくすぐったそうに目を細めたのがすごくすごく嬉しくてかっわいいなぁ、なんて呟いてしまう。3つも年上の彼女は本当に可愛い。
とっても可愛い僕の彼女。やっとのことで手に入れた、ね。
「なんか、怖いのよね」
「怖い?」
「そう、とても窮屈になるの」
そっか、と穏やかな口調で返す。枕を見て怖い、窮屈になるといった感覚は僕にはない。
むしろふかふかで柔らかくて自分を包んでくれるもの、と思っているくらいだ。
彼女が10年前に命を落としたきっかけが枕で、押し付けられることでの窒息死だった、なんて今の二人には全く予想ができないことだろう。当の本人もあの日
怪物に飲み込まれて以降はさっぱりその記憶を失っている。残るのは怖い、窮屈。といった不快感だけで。
「じゃあさ」
「うん」
「寝るときは僕の腕を貸してあげるね」
そしたらこうやって抱きしめたまま寝れるでしょ?