ティーダ(ギャグ→シリアス)続く?















 だって















「だーかーらー!!」




痺れを切らした様子でティーダは声を上げた。


その真正面には先ほどからティーダと


あることでいがみ合っているの姿があった。


は相変わらずふくれっつらだった。


二人の近くのソファに(半強制的に)座っているフリオニールが


やれやれとため息をつきながら行く末を見守っている。


武器の手入れ中の彼は場所を変えたい、と常々思っていた。


二人の言い争いは止まらない。




「嫌なもんは嫌なんだ!」


「まーだ言うッスか!そろそろ諦めろってーの!」


「あのねぇ。どんな事言われてもこれだけは曲げらんないの!


 ……いい加減怒鳴るのやめたら?フリオニールが困ってんだろ!」


「いや、俺は…」


「いーや!フリオニール関係なし!」




きっぱりと言い放つティーダ。


フリオニールの表情が険しくなった。


諦めに似た影がかかる。




「………。俺、邪魔そうだから隣の部屋に……」


「駄目!」「駄目ッス!」


「………」




フリオニールは少しだけ落胆して作業を続けた。


駄目だ。


この二人の会話に入ると明らかに自分にも火の粉がかかるぞ。


最初のほうは「やめないか」と軽くとめに入ったりもしていたのだが、


今冷静になった頭で考えるとそれは無謀というものだった。


熱い性格のティーダと、冷めた性格の


その性格は対照的でありながら仲はいい二人。


お互いがちゃんとした意見を持っていて、それを主張できるというのがポイントなのだろう。




(それが、その性格のせいでこんなことになるなんてな…)




フリオニールは二人に気づかれないようにこっそりため息をついた。


二人のい争いはまだまだ続きそうだ。




「じゃあなんでそんなに嫌なんスか!ちゃんと俺にわかるように説明するッス!」


「じゃあ、逆に聞くけどさ!何でそこまで僕にイチャモンつけるわけ?WOLは“私”じゃん!」


「あ!また!…それとこれとは別問題ッ!」


「どう別なんだよ!一緒じゃんか!!」


「だーかーらー!!」




冒頭に逆戻り。


お互い睨み合い、むむむむ…といったオーラをぶつけ合っている。


フリオニールは心の隅で「よし。そのまま俺のことは忘れてくれ…」と願った。


しかし。


そういった願いはかなわないもの。




「じゃあさ!フリオニールはどう思ってるわけ?!」


「――は?え、俺…ッ??」


「それいいッス!フリオニールはどう思ってんの?」


「お、俺は…別に……どうもこうも」




しどろもどろするフリオニール。


どっちに加担しても後が怖そうで。




「フリオニールがこうなってんのも、元をただせばのせいッス!」


「…あのさぁ、口実がなくなってきてるからって何でもかんでも巻き込むのやめてよね?」


「だって、事実だろ!?が女だってわかる前はこんな余所余所しくなかったッス!」


「………」


「隠してたわけじゃないし!勝手に皆間違ってんだろ?まぁ楽しんでるのは事実だけど?」


「ほら見ろ!楽しんでるッ!」


「だから何なんだよ!別に僕は意図的にだましてるわけじゃないだろ!?


 女って見て余所余所しくされんのなら男って見てくれたほうがまだましだね!!」


「ま…ッたそういうことを…!」




逃げたい。


フリオニールが本気でそんなことを思い始める。


居辛い。


フリオニールは口を一の字にして絶えていた。




「なんで“僕”っていうことでそんなにティーダに責められなくっちゃいけないの!!?」




そう。


原因は彼女の自称。


女である彼女が「私」ではなく「僕」を使っていたから。


その自称と彼女の性格のせいで初めのころは男ということで認識されていたようだ。


誤解を生む表現。


それに女の子なら「私」を使うべきでは?


という疑問点にティーダは達したのだった。


そして、数十分のいがみ合いが繰り返され、今となる。




「だからちゃんと俺にわかるように理由を言えってーの!!」


「――僕と兄さんを繋ぐ為だよ」


「――へ!?」


「もう二度と会えなくても!僕がこう言ってりゃあ近くに感じられるだろッ!!」


「――――」


「おい、!」




――それが何でいけないんだよ。




は最後、ぐしゃりと表情を歪めて叫んだ。


そして、その場から逃げるように部屋を飛び出した。


ティーダは空気を見ていた。


そこは彼女がさっきまでいた場所。


途方に暮れている。


熱の高い頭が中々冷めない。


そんなティーダを横目にすべてを見ていた(半強制的に)フリオニールが


剣をしまって立ち上がる。


流石にこのまま彼女を放って置くわけにはいかない。


それがたとえ自分の苦手な相手でもだ。


フリオニールが扉に手をかけたとき、彼の方をティーダの手が止めた。


まだ整理ができていないのか視線はフリオニールよりももっと手前の場所にある。


そして、納得できた頭ではっとなった。




「俺……ちゃんと謝ってくる」


「…あぁ、行って来い」


「おう!」




彼を扉のところで見送る。


パチンと顔をたたいて気合を入れた彼の後姿を見て


フリオニールはやれやれとため息をついた。














(フリオは苦労人的ポジションだと思う)←面倒見がいい? inserted by FC2 system