ティーダ→ジタン















 ごかい















「嫌だ!別にいいってば!」




無垢なスマイルを絶やさないティーダに見事に捕まってしまった


このような純の笑顔を絶やす人物(ティーダ・バッツ・ジタン等)に関しては


かなりの警戒が必要だということをよりによって捕まってから思い出した。


この笑顔は知ってる。


何か企んでいるときの笑顔だ。


ティーダの手にはとある“もの”が握られている。


…。


断固拒否するだがティーダの




「はいはいはい、そう言わずに、早く着替えてこいって!」




という快活で強引なティーダによって“それ”もろとも背中を押されてしまった。


奥の部屋に放り込まれて完全に扉を閉められる。


彼なりの「女の子だから」という気遣いの考慮を、


は素直に受け取ることができないでいた。


押し付けられたものを戸惑いがちに見つめる。




「ジタンの奴どんな反応するか楽しみッスねぇ」




扉越しの言葉には顔を赤くさせた。









 +









(あれ…の奴どこいったんだ…?)




一通り彼女のいそうな寝室、リビング、屋上と様々なところを見ていったものの


肝心な彼女の姿はなかった。


今日出かけるなんていってなかった…よな。


うん。


言ってないか。


記憶をたどってみるジタン。


他に彼女ならどこに行くだろうなぁ、と顎に手を添えて頭をひねっているときだった。


奥の部屋から彼女の声が聞こえてきた。


お、なんだ、いるじゃん。


ジタンが扉のノブに手をかけたとき、思わず静止した。


中から聞こえてくる声のせいだ。




『お!なかなか似合ってんじゃん!』


『ほ、ほら、言うとおりしたよ!ね、もういいだろ?』


『駄ー目!さーて、ジタンの反応が楽しみッスねぇ』


『――い、嫌!』


『往生際が悪いぜ?




中から聞こえてくる声。


それは間違いなくティーダとのもの。


ピシ。


と木製の扉が嫌な音を出した。


左手には愛用のダガーがしっかりと握られていた。




「おい、ティーダ!テメェ俺の女に手ェ出すとはいい度胸じゃねぇか!!」


「――おぅっ!ちょっ、タンマ!待てってジタン!誤解ッス!!」


「逃がすかあっ!」


「ちょ、!!」


「――ジタン!!僕は大丈夫だから!」




ぴたりとダガーの動きが止まる。


けれどもそれは容赦なく壁へと突き刺さっていた。


ティーダの動きも合わせてとまる。


はらり、と右の髪の毛が数本切れ、床に落ちていった。


ティーダは呼吸することも忘れて「怖ェ…」と内心おびえていた。


俺の言葉は聞かなかった癖して…


声に出せばどうなるか。


今の彼には容易に想像できた。




が腕に抱きつくようにして必死に彼を止める。


彼はの姿を一目見てえ、と我に返った。




「――え、?こいつに何かされてたんじゃ…


 …ってか何でネコみみフード着てんだ??」


「あーもう!僕はティーダに何もされてないって。全部ジタンの誤解…!


 それに、これは、その…僕が、魔法の攻撃力全然ってことをティーダに相談したら、


 トレードしてきてくれてさ。必要ないよって言ったのにいいから着てみろって……


 ――で、今なわけ」




目を瞬かせるジタン。


自分の想像が単なる「想像」だったことに気がついて罰の悪そうに顔をゆがめた。


ジタンは慌ててダガーをしまい、素直に謝る。




「悪いティーダ。俺、勘違いしてたって言うか…疑って、ごめん!」


「そ、そんなの全然いいッスよ!誤解を招くようなことさせたの俺だしさ!」


「いや、でも悪かったよ」




ジタンは彼に手を伸ばした。


ティーダはもう気にしてないぜ、と笑って手をとった。


はふわりと微笑んだ。


そしてほっと胸をなでおろした。


ジタンは困ったように頬を掻いていた。




「あ、そうだジタン。僕に何か用あった?」


「…あ!そうそうティナが夕食作るの手伝ってほしいってさ」


「忘れてた!…今から作ってくるね」


「いつもありがとッスよー」




ひらひらとティーダが愛想のいい笑みを浮かべて手を振った。


ぱたぱたと走っていく彼女を見送るとジタンは無言でティーダを見つめた。


視線に気がついたティーダが苦笑する。




「………」


「やだなぁ。狙ってるわけないだろ?はただの仲間だって!」




ティーダを敵と認識したジタンだったとさ。









 +









「ジタンが独占欲凄いってのは意外だったッス…(自分は手が早いくせに)」


「……。ね、ティーダ。さっきからジタンの視線が痛いんだけど…僕なんかしたっけ??」


「さ、さぁ…?(どちらかというとその視線は俺に、だろうけどな…はは)」














+ 余談 +




・ジタンをかっこよく書きたかったというのがそもそものネタ←


・ヒロインネコみみフードを被ることに何の抵抗もないのですが


 一応金の髪飾りをつけているのでいらない、といっていただけなんですよ。


・ネコみみフードかぶったまま台所に行ってたりしてます。


・そしてティナにふかふかされてるといいよね。 inserted by FC2 system