セシル(SS)














 きずな














「セシルは兄さん好き?」




唐突の質問なんていつもの事。


彼女からの不意打ち質問にもだいぶ慣れた。


不意打ち質問の前にとあるきっかけみたいなものがある。


最初はその事に気がつけなく「え?」としり込みしてしまったけれど、


それを知った今では特に何もなく普通に話す事ができていた。




はじっと見つめた後に話し出すのだ。


それが唐突質問のきっかけ。


話したいな、どうしようかな。


の雰囲気を察して小首を傾げてあげると彼女は嬉しそうに頬を緩ませた。


そして彼女は冒頭の質問を僕にした。




「えっと…僕の兄さんの事でいいのかな?」


「うん、セシルの兄さん」




彼女が復唱する。


同い年には見えない口回し。


少し幼い。


お向かいのソファに腰を下ろして膝を抱きながらは言った。




「好きだよ。前は少し…色々あって素直に言えなかったんだけど、今なら…言えるかな」


「…ふぅん」




薄い反応。


けれども視線ははがれることなくじっと僕を見ているので


興味自体はそがれていないご様子。


オーバーリアクションのないのが彼女だ。


…言い換えれば基本ポーカーフェイスとも言うけど。




は…お兄さんの事大好きなんだね」


「わかるの?」


「わかるよ」




ふふ…と微笑む。


そうしたらは目をぱちくりさせて見せた。


それからつられるようにして微笑む。




「うん、兄さん大好き。ずっとさよならしてたから…そのせいもあるかもしれないけど」


「さよなら?」


「…ずっと会えなかったの。でもいいんだ。この戦いが終わったら、いつでも会えるよ」




そう、と呟いた。


の兄、は確かカオス側の人間でありながら


コスモス勢であるを助けようとして消滅したと聞いている。


彼女の今の言葉を変換すれば


「この異説が終わり、元の世界に戻りさえすればいつでも会える」


という風にも聞こえる。


口先だけの強がりには見えないからきっと何かしらの確信があっての言葉だろう。


洒落て言うと双子の絆、というものだろうか。


少し、うらやましくなった。




「なんだか」


「?」


「兄さんに会いたくなってきたな…」




僕はは目を細めながら言った。














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