バッツ・文字ネタ・友情もの?














 ひみつ













ぎこちない苦笑を浮かべつつその紙切れを差し出すと


ははっと目が覚めたような反応を見せた。


しまった、と言わんばかりに顔を引きつらせるものだから


その紙を差し出したセシルも戸惑いを見せ、たじたじ…。


その紙を提示された意味を察してはとりあえず謝った。


紙切れにはセシルが今までに見たこともないような文字がつらつらと書かれている。


セシルの隣にいるバッツは玩具を見つけた子供みたいに生き生きしていた。


彼のきらきらした目が物語っている。


“この文字の意味を知りたい”と――


それがが表情を硬くしたままの原因の一つでもある。




「ごめんセシル…。それ多分ぼお…としてたときに書き留めたヤツだと、おもう…」


「ううん、気にしないで。見つけたのはバッツだしね?」


「バッツが?」


「そうそう!いやぁ見たこともない文字だったから興味わいてさ!


 いろんなやつに聞いていったらティナがだって言うから……」




読んでもらおうと思ったのだが生憎ティナには読めないご様子。


「本人の知らぬ間にこっそり書いてあることを調べよう!」


(※ 良い子は真似をしてはいけません。)


というバッツからしてみればわくわくする計画を棒に振ってでも


この文章の内容が気になったらしい。


「傍にいたセシルを巻き込んで聞いてみるとはきっと答えてくれるぞ!」


(※ 良い子は真似をしてはいけません。)


というのも実は作戦の一つ。




「見たこともない文字だよね。もしかしてこれがたちの世界の?」


「えっと…正確には違うかな。僕の故郷で使われていた文字……かな?」


「故郷……ってことは幻獣界か!?」


「まぁそういうことになるね」




一瞬バッツの表情が―くそう、ギルガメッシュに聞けばわかったのか!


といった風に悔しそうな―何か企んでいる顔に変わった。


内容を知られたくないはその表情を見て察した。




(あぁ…コイツに知られれば確実に広まってしまう)




と。


そしてそれと同時に。


こうなれば、どうにかごまかしてこの場をやり抜こう、という思考が脳裏をよぎる。




「……。これ結構雑に書いてる…多分お酒はいってたときに書いたんじゃないかな?」


「読めないのか??」


「うーん。ちょっと厳しいなぁ……」




あはは、と苦笑するも勿論ごまかす為のうそ。


苦し紛れの言い訳でも簡単に騙されてくれるものだから本当に悪い事をした気分になる。


させられる。


けれどもこれだけは譲れない。


だって、ここに書いてある文字は――




「あ!この文字…どこかで見たことあると思ったらリディアが使っていた文字じゃないか」


「――」


「へ?リディア??……セシルの仲間か?」


「うん。その子は召喚師だったから、幻獣たちと仲が良くてね」




そういえば昔教えてもあった気がするな。


と言えばの表情は一変する。


安堵から嫌悪へ。


見て取れる変化にバッツは確信めいた笑みを浮かべた。


が嫌がれば嫌がるほどその文字の内容が


彼女にとって恥ずかしいものだと言う証拠になるのだ。


しかもセシルの言動はそれにとどまらず……




「少しなら教えてもらった事あるから…解読できそうだよ」


「――」


「お!やるじゃんセシル!」


「えっと――」




ぶつぶつと呟く二人。


一人は過去の記憶を掘り出す呟き。


そしてもう一人は所謂呪文。




… ファイア …




が唱えたファイアが綺麗さっぱり紙だけを燃やして灰にしてしまう。


紙を持っていたセシルも反射的に紙を手放しているのでやけどはない。


二人の視線がへと向く。


は一瞬ひるんですぐに逃げ場を求めて走り出した。


様は逃亡したと言う事。


バッツは玩具を失った悔しさの矛先をへと変更し、


あっという間に部屋を去ってしまった。


部屋にひとり残されたセシルは二人が出て行った扉を見てクスリと微笑む。




「“好き”っていうのは…やっぱり彼の事なんだろうね」




セシルは優しげな微笑でひっそりといった。









後日バッツから話を聞いたジタンに問い詰められたとかそうでないとか…














inserted by FC2 system