ジタン・何気に「びねつ」の続編















 しんぱい















本拠地の入口にオニオンナイトの姿はあった。


腕を組んで壁に寄りかかり、とある人物を待っている。


ジタン・トライバル。


オニオンは少々不機嫌のご様子。


束の間。


ジタンは陽気な声を上げながら帰宅した。


後にはやや疲れを見せるスコールも一緒だ。


どうやら彼のテンションに当てられたらしい。


ジタンは帰宅早々入口で待っているオニオンの姿を見つけて


露骨に不満そうにした。




「お出迎えならレディがよかったぜ……」


「呆れて言葉も出ないんだけど。


 折角人が態々待っててやったのにその言い草はないんじゃないの?」


「…(はぁ)。で、用があったんじゃないのか?」




スコールはため息をひとつ零して話を進める。


オニオンは少しだけ目を伏せて答えた。




が朝からずっと具合が悪くて……」


「!…が?」


「多分、精神的なものからだって。…ティナが言ってた」




早くいってあげなよ。


ジタンの表情はぐ、と曇って抱えていた紙袋を落として廊下を走り出した。


仲間思いの彼のことだ。


こうなる事は大方予想できていた。


オニオンはため息をつく。


そして。


目の前に放置された紙袋を見て再び露骨に嫌な顔をした。




「やっぱり僕が持つ事になるのか…」




その疑問に答える者はいなかった。









 +









!?」




バッ。


と扉を開ける。


第一にうつったのはソファでティナにもたれかかるの姿。


ティナはジタンが来てくれた事に微笑み、そしてへと声をかけた。


静かな会話。


はうん、と頷いて見せて体を起き上がらせる。


ティナはじゃあ、と一言いてから部屋を出て行った。


部屋には二人だけ。


はジタンのほうを見て弱弱しく微笑んだ。




「…お帰り、ジタン。言ってたアクセサリは見つかった?」


「ただ、いま。……って、起きてて大丈夫なのかよ!顔色悪いぜ?」


「平気。ただの微熱だし……皆心配性だなぁ」




笑って見せるもののとても儚い笑顔。


それでもほんの少しでも笑う事ができる余裕があることに


ジタンは安堵して彼女をそのまま腕の中に収めた。


緊張する彼女の体。


少し熱い。


頬同士が触れ合って熱を感じた。




(微熱、か…)




苦しがらないようにすぐに腕を解くと彼女と目が合う。


彼があまりに心配そうな顔をするものだからは彼の頬を軽くつまんだ。


驚き混じりのしかめっ面。


ジタンはすぐにその意図に気がついて微笑を返してくれた。




「ねぇジタン。外、連れてって欲しいな……なんて」


「……でも、熱が」


「なんだかここ、音が篭る感じがして……落ち着かなくて」




音が篭る。


彼女なりの表現。


それは悪夢の残響の事。


兄の声。


耳鳴り。


こもって、響く。


余計な事を考える。


は一度俯いた。


けれども彼の心配かけまいとすぐに彼の目を見る。


それでもまだ彼の水色の瞳が揺れていたので


はにやりとしながら「んじゃあ、僕が倒れたらジタンに負ぶって貰うって事で」


と少しおどけて見せた。


ジタンもその対応にふ、と笑む。




「はは、了解」




立ち上がって彼女に手を差し出す。


小さく会釈をして「さぁ、行きましょうか」なんていうものだから


は肩をすくめながらも「ええ」とすまして返した。















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