[ジタン]“迷”シリーズ第三弾・DISSIDIA FINAL FANTASY(2009.7.21)
















 迷















イスの背中を抱くようにしてすわりじっと見つめてくる少年。


秩序の盗賊。


コスモスに導かれた戦士の一人。


短い間だけれども共に戦っている仲間なのだ。


最低限の知識なんてすぐに手に入る。


自分も、秩序の聖人としてこの世界に召されてしまった時は、


微かに不安ではあったけれどもそれくらいの一瞬の躊躇いは誰にでもあったものだろうし


自分もすぐに打ち解ける事ができている。


ただ。


自分の存在にカオスの空気を感じている仲間達に関しては、知らない。




「なぁ、聖人」


「何、盗賊」


「………、お前さ仮にもレディだったらさ、愛嬌とかないのかよ、」


「ほんの数日前まで気付かなかった奴がなに言ってんだか。僕だって相手くらい選んでんぜ?」


「―んっと可愛くねー」


「どーも」




盛大にため息をついてみせ愛用の杖を磨いている。


はこの世界では一切のソードやダガーといった武器は使っていない。


否。


使えるが、使わない。


全てを魔法の使用に当てているのだ。


そのためどうしても遠距離タイプになってしまうのだが、


はその事に何の関心も持っていない。


ともに組んでいるジタンが近距離なのだから、問題ではないのだ。




「なぁ、聖人」


「何、盗賊」


「………、お前さ俺と組んでて楽しいかい?」


「楽しいけど?」


「………」


「何それ。きいといて黙る?失礼じゃない?」


「あ、いや……」




きょとん、とした幼い表情ではジタンに目を合わせる。


褐色と水色が重なる。


少しジタンが動揺した。


内心俺らしくない、なんて思いながらジタンはすぐに平然を装う。




「実はね、戦うのってそんなに好きじゃないんだよね、僕。……だけどさ、


 この世界でそんな甘ったれた事いってられないだろ?折角招待されたんだし、


 今は自分が持ってる力を最大限に使ってやろうかなって感じ」




僕ら、相性はいいと思うんだけどね。


聞こえるか聞こえないか、中途半端な音量。


きっと無意識。


意識的にやらないから、よく誤解を受けるけど、本当は違うものを抱いてる。


根ではきっとそれなりの決意は出来ているんだ。




「なぁ、」


「何、ジタン」


「………、俺なんとなくお前の事分かったかも」


「……さいで」




沈黙は嬉しさのごまかし。


なるほどな。


ジタンは呟いた。


それからひょいっとイスから飛び降りるとの正面に中腰になり


座っている彼女の顔をまじまじと見つめる。


息がかかるくらいの距離。


困惑したは「な、何…」と歯切れの悪い言葉を漏らした。




「お前実は可愛い?」


「な、何言って――!」




かぁ、っと顔が赤らめられる。


戸惑ったような少女のような表情を間近で見つめてジタンはへぇ、と笑った。




「照れんなって、可愛いな」


「…照れてねーよ!バカ、」


「……、お前さ。この状況分かってる?力で勝つ自信くらいはあるんだけど?」


「……ならその前にメテオ唱え――」


「その前に口をふさぐぜ?」


「――」




桜色の前髪を触って顔を隠すように俯いてしまった。


ジタンの彼女への興味はこうやって出来上がったのだった。




「ま、今日の所はこれくらいにしといてやるかー」




そんな言葉に恐る恐る顔を上げたのおでこに


「おまけ」と笑いながらキスを送っといた。














(ジタンの知識はサイト様、ニコ動ていどです);;;
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