[ジタン]“迷”シリーズ第三弾・DISSIDIA FINAL FANTASY(2009.6.28)
迷
頬に手を滑らせる。
すると彼女、コスモスはぎこちない微笑を返してくれた。
「大丈夫だよ」
は彼女を見上げながら頑張って作った笑顔を見せる。
それだけしか、出来なかった。
「大丈夫、僕が、僕達がちゃんと守るよ。皆の事も、世界も、未来も、アナタも、全部
守って見せるから。…お願い。そんな顔しないで?
ちゃんとカオスを封印して見せるから。そのために僕は呼ばれたんだから。
平気さ。きっと成功する……して見せるからッ!」
魔封師。
その名を知るものは少ない。
世界に一人しかいないというその存在はあまりに希少すぎる。
秩序の聖人としてが呼ばれた理由。
それは魔封師である彼女が混沌の力を持つカオスを完全に封印するためだった。
二度と世界が乱れないように。
コスモスもまた、それを願っているのだ。
わかってる。
守るから。
大丈夫。
失敗なんてないから。
泣かないでよ。
「ごめんなさい」
「…え?」
「怖いのでしょう?恐れているのでしょう?…ほら、こんなに震えている」
「…っ」
一瞬表情が歪む。
泣き出しそうな弱い表情。
無理もない。
けれど、そういってしまえば、甘い。
「失敗に対する恐れ、不安、躊躇いへと繋がり次第に力は消えうせる。
けれども貴方はそれを受け入れることで向き合っている。
恐れもあるでしょう。
不安もあるでしょう。
躊躇いも、あるでしょう。
貴方は、強いですね。こんなに震えてまで、守るといってくれた。
……わたしも、そんな貴方に答えないといけませんね」
信じます。
祈ります。
それだけしか出来ないけれど。
ただ。
今だけは。
「泣いてもいいのですよ?泣く事は、決して弱い事ではありません」
そうでしょう、ジタン。
ふわり、とコスモスが消える。
は後ろの足音の主を見ることが出来ずにただしゃがんだままだった。
浅い水面にしずくが落ちる。
は懸命に押し殺していた。
「……」
「ごめんなさい、ゴメン、なさい…大丈夫ッだから…!」
「………」
彼の声。
きっと困ってる。
分かってるのに、涙が止まらない。
震えが、止まらない。
ジタンはずっと何も出来なくて黙り込んでいたが一度唇をかみしめてから
を背後から抱きしめた。
片方の腕で彼女の肩を丸ごと抱いて、もう片方は何も見せまいと目を覆い隠す。
尻尾がしゅん、と垂れている。
桜と金の髪が混ざり合った。
「ジ、タン……?」
「なに?」
「ちゃんと、やってみせるから。…僕、頑張るから」
「…うん」
信じてて?
彼女の耳に自分の頬をくっつける。
摺り寄せてから、ジタンは目を閉じた。
「信じてるぜ。今も、これからもずっと」
「…うん」
素直にが頷く。
の華奢な指が肩を抱いているジタンの手に触れた。
暖かかった。
(逃げないから、)
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