きみと、 0
幻想に終焉は無い。
永遠に語り継がれる究極の幻想から、
これはたった一度だけ語られる“異説”である――
悠久の果てしない争いを続ける
調和の神コスモスと混沌の神カオス。
二対は象徴であり均等、
何より全てであった。
だが破壊者たちの暴挙が均衡を崩し、
世界は混沌で覆われてしまう。
世界に残された僅かな希望は、
コスモスに導かれし11人の戦士。
彼らが紡ぐ世界の可能性の物語。
幻想に限定された形は無い。
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目が覚めると別世界だった。
ここが何処なのか。
如何してここいいるのか。
如何して自分は呼ばれたのか。
わからないはずなのに。
胸に刻まれた何かが自分を動かした。
“ 手に入れてください ”
心の中で彼女の声が聞こえる。
あぁ。
そうだ。
混沌に覆われる世界を救うために。
自分をこの世界へと導いた存在。
調和を司る神、コスモス。
鈴を転がす声で自分の心の奥を震わせた。
“ 世界が砕けても輝きを失わない光、クリスタルを―― ”
耳に残る。
消え入りそうな弱々しい力が伝わってくる。
コスモスは今、衰弱していた。
混沌を司るカオスの影響が思ったよりも強いようだ。
僕は胸に両胸を当てて空を見上げるようにして目を閉じた。
ひとつひとつ、大切に言葉を拾っていく。
“ 世界に希望を―― ”
胸がざわめく。
落ち着かない。
不安で不安で仕方が無い。
窮屈な部屋に押し込められた時の事を、久々に思い出した。
独りの怖さ。
恐怖。
今まで長い間共にいた“彼”は、もういない。
指が震える。
心臓の動きに合わせて。
世界が。
段々と曇っていく。
「――」
名前を呼ばれて手の力を緩める。
重力に従い腕はすんなりと元の位置にもどった。
共に戦う仲間。
彼らへと視線を向けた。
旅人の異名を持つバッツ。
そして。
盗賊の異名を持つジタン。
二人と共にこの世界で僕はクリスタルを見つける。
仲間。
「あぁ――行こう」
そういうと二人はにこりと笑った。
二人に後れを取らないように歩みを進める。
前へ進むため。
クリスタルを見つけるため。
世界を混沌から守るため。
そして。
答えを、見つけ出すため。