「ね、ティナのところ…寄ってもいいだろ?」




遠慮がちに伏せられた瞳で、


は最愛のパートナーに問いかける。


だめ?


と、小首をかしげながらの、上目遣いでいわれて断れるわけもなく…


むしろ朗らかに微笑みをこぼしながら









「そうだな…久々に、顔出してみるか」














 しあわせのかたち















珍しい彼女からのお願いを当たり前のように了承したロックは、


彼女の"お願い"を実現させるために懐かしい道なりを歩く。


隣にはこれ以上ないほど上機嫌な彼女がニコニコと微笑みながら自分と同じ道を歩んでいて、


ちらりと様子を伺うように視線を投げれば、


出会ったばかりの頃にはには見ることのできなかった微笑を返してくれた。




「もうすぐだね」


「ああ…。


 ……………ティナに会えるのがそんなに嬉しいか?」


「ふふ…まぁね。


 本当に何年ぶりだろう・・・すっごく楽しみ」




鼻歌でも口ずさんでしまいそうなに、ロックは


少し面白くなさそうな表情をした。




「…どうした?」


「いや…なんでもねぇ」





ただの嫉妬だよ。










+









「あ!のお姉ちゃんだ!!」




一人の子供が喜び混じりにそう叫ぶと、


波紋が広がるように周りの子供たちの視線を釘付けにさせた。


次々と物をいうと子供たちに囲まれる男女の二人組みを窓越しに見つけたティナは


驚きと喜びを隠し切れないかのように、慌てて家を飛び出した。




「…………………、なの?」




本当に久しぶりに聞いたティナの凛とした声には思わず顔がほころばせる。


分かっていたことだったが、ハート爛漫でひしっ!と


手をつなぐ二人にロックは呆れたように息を吐き出した。




「お前らのそれを見るのも本当に久しぶりだな」




苦笑に近い乾いた笑みを浮かべたロックだったが、


二人の耳には聞こえていないようだった。




「久しぶり、ティナ。変わりはなさそうだな…!」


は…、前より明るくなったっ!」


「へへ…そう?」




前より、一段と伸びた桜色の髪をすきながらはにかむ


ティナも嬉しそうに微笑んだ。


一通りの挨拶が終わったところで、その場にいた子供たちがの周りに群がる…




「お姉ちゃん、一緒に遊ぼー」


「ねーねー、一緒に鬼ごっこしようよ!」


「…、じゃあ皆でやろっか?」


『うん!!』『わーい!』




ちょっと行ってくるね、とロックとティナに一言告げて、


子供達に手を引かれながら輪に入っていく。


ティナは近くの壁の麓に座り込み、ロックはその壁にもたれかかる。


二人の視界にはしっかりとと子供達の姿が捉えられていた。


子供達+の楽しそうな声を聞きながら、


ティナは最近のの様子を尋ねた。




「相変わらず…かな」


「そう…。でも…」


「?」


、幸せそう」




まるで純粋な子供のように笑うを見てティナが嬉しそうにはにかんだ。


ロックも「そうだな」と相槌を打つ。




ね、たまに…。本当にごくたまにだけど…」


「…うん」


「手紙をくれるの」




ロックが手紙?とたずねる。


知らなかったような口調だった。


ティナが頷いて、話を続ける。




「そのほとんどがロック…あなたの事よ?」


「…へぇ///」


「だからなかなか会えなくなったけど…寂しくないの




 だっては一人じゃなくなったものね」




ティナはふふ…と笑みを零す。


赤みを帯びた表情を隠すようにロックはティナからへと視線を移した。


その直後…一人の子供が大地に顔から突っ込んだ。


「大変」とティナが言葉を漏らす。




「どこか痛い所ある?」




慌てて立たせたが男の子の目線からゆっくりと尋ねる。


ぐじゅ…と顔を歪ませた子供だったが、グッと我慢して「平気!」と言った。


後から歩いてきたロックが良く我慢したな、といってくしゃりと頭を撫でる。


その光景にがふわりと微笑んだ。




「そろそろ夕食の準備をしましょう。皆手伝って」


『はぁーい』


「食べていくでしょ?」


「「勿論」」


「ふふ…息ぴったりね」




ティナの言葉に二人はお互いを見合わせて、柔らかく微笑む。




「俺たちもいこっか」


「うん」




そういって何気なく差し出される手の平を、


は幸せそうにはにかみながら握り締めた。














(居場所があるから 笑っていられる)
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