と も に















「もう行くの?」




もう少しいればいいのに…といった口調でティナは言う。


ひんやりとした朝の空気が冷たい。


まだ日が昇りきってない空はまだ少し夜の名残を残していた。


は困ったように笑うと、隣にいるロックに助けを求める。




「子供達が起きると、出て行きにくくなるだろうし…」


「…やっぱり行くのね。どこかに落ち着くつもりはないのかしら…?」


「今のところは、ね…」




そう…とティナは呟く。


そんな彼女には昔のように優しく頭を撫でた。




「僕にはまだ仕事が残ってるしね。こればっかりはどうしようもないよ」




母さんとの約束だもん。


と、付け加えてはへっちゃらだよと言う風に笑う。


の両手のブレスレッドが輝く。


彼女はそれを愛しそうにに握り締めるのだった。




「じゃあなティナ」


「また…会いにくるね」


「二人とも元気で…」




精一杯に笑うティナに見送られて、ロックとの二人はモブリズの町を後にした。









 +









「ちょっと考えたんだけどさ…」




完全に街が見えなくなった頃、ロックがポツリと零した。


ん?とがロックのほうへと視線をやる。




「仕事ってそれはにしかできないっていってたよな…?」


「うん、そうだよ。の一族が他にいないって事はそういうことなん…でしょ?」


「じゃあ…さ」


「なんだよ、もったいぶって…」




躊躇するロックに、内心疑問を抱く


段々と歩幅が広くなっていく彼に、その後ろを追う彼女。


明らかに彼の様子が可笑しい。




「俺たちの―――…」


「?」




そこまでいって、やめる。


はぁ…と息を吐くとロックは手の平で顔を隠した。




「まだ…いいか」


「勝手に自己完結しないでくれる?」


「ま、何時かな」


「なんだよ、それ…」




へんなの。


彼女はそういって、また笑った。









何時か来る、その日まで。














(次はどこいこっか?)(んー。ロックと一緒ならどこでもいい)(そ、そっか…///)
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