Angel's smile

















いつからだろう…君を、好きになっていたのは――…















 待ち続けるよ 106.5
















「どうして私は…」




家の中へ入るようにに勧められたものの、


ティナは遠く離れた場所でもいいから見ていたいと言ってそれを拒んだ。


は応戦中の二人が気にかけない程度に離れた場所まで行き、


念の為にと、ソードの柄に手を添えていた。




いざとなれば戦う事もできる。


…彼自身、ティナとは違い戦う力をなくしたわけではない。


ティナがその件で苦しみ、悩んでいる事を知っていたので


彼は彼なりの優しさで黙っていただけなのだ。




もし今、ティナの目の前で戦いに加わって見せたなら


彼女は自分自身のことを重荷だと思い、


遠慮がちに「私は大丈夫だから」と微笑むに違いない。


にはそれがわかっていた。


だからこそ、彼女が力をなくしたと知ったとき、


傍にいようと…守ろうと…決めたのだ。




「自分を責めちゃいけないよ」


「でも…っ」


「こういうのは自分のペースでいいんだ。


 遅くなって、みんなの足手まといになるって思うのなら


 いっその事待っていてもらお?…僕も一緒に待つからさ?」


「………」




はふわりと微笑んだ。


彼が笑うだけで花が咲いたように気持ちが軽くなった気がした。


救われた気がした。




「あなたはどうして…私を待っていてくれるの?」


「ん…どうしてかな?」


「…?」




一瞬見せた何かをたくらんだような表情に


妹の面影を感じるティナ。


確信めいた笑みを浮かべる彼に首を傾げて見せると


は唇に人差し指を当ててそっと言った。




「ティナが答えを見つけたとき、教えてあげる」














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