Angel's smile

















そういうと彼は皺くちゃにしながら笑った――…















 魔導士たちの村 81.5
















魔封師と言うのは血筋の繋がりのあるものにしか継承されず、


そしてそれは代々一人しか扱う事ができない力のようだ。


魔封。


その文字通り魔を封じる――つまりは幻獣や三闘神の魔力さえも


封じる事ができる事ができるという。


それは戦いを恐れた三闘神が自らの力を封印させるために


一人の人間に与えた力。


そして、その後継者は一人。


それは双子や兄弟が生まれた場合でも一人は一人のようだ。




「ん…ちょっと待つゾイ」




古い倉庫の奥。


封魔師であると魔導士であるストラゴスがそこにいた。


どうしても彼女に見せたいものがある。


そういってしばらくは開放されていないカビっぽい部屋へと案内されたのだ。


ストラゴスはあっちかな、こっちかな、とうろ覚えの記憶を頼りに探している。


は不満ひとつこぼさずにそれを眺めていた。




「あったゾイ!」


「……それは?」




木箱。


これまた古い。


ストラゴスは何も考えることなくふぅ、と息をかけるものだから


思わずは埃っぽさにむせてしまった。


スマン、としょんぼりしてみせる老人に苦笑を返して


は小箱のふたを開ける。




「服、だね…」


「そう…封魔師の者が儀式の際に身にまとう聖服じゃ」


「(聖服…)じゃあ、父さんもこれを?」


…否、コーリンの奴は向いてないといって一度も袖を通さんかったゾイ」




封魔師という自覚はあり、三闘神の封印の確認という仕事もこなしていた。


けれどもそれを自分の義務のように思っていたようで、


コーリンは服を纏うことでの特別視を避けたようだった。


…おそらく彼の性格がそうさせたのだろう。


は真っ白な聖服をしばらく見つめ黙ってふたをした。


ストラゴスが気に入らなかったのか?と尋ねる。


は首を振った。




「僕がこの力に気がついたのって本当に最近だし…実はあんまり自覚ないんだ。


 それに、今のところ力を使うつもりもないから、必要ないものだよ」




特別な能力だからこそ多様はしたくない。


はそう意味をこめてストラゴスにもうしばらくあずかってもらうことにした。


出来れば使われる事のないことを祈って。




「わざわざ見せてくれてありがとう」


「別にええゾイ。わしも……嬉しいんじゃよ」




小さな頃から知っているコーリンの娘。


肝心なコーリンにはもう会える事はなかったとしても。









「今度、父さんの話…聞かせてね」



















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