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(~2019.02.21)
(エド)














 おいた














人体錬成という禁忌を犯した代価なのか。


エドワードは体のない弟の分まで栄養を取り睡眠をとる。


それはあの時、あの場所で人体錬成に巻き込まれただって同じ。


体は分解され、そして再構築されていると考えると


どこかで彼ら兄弟…エドワードとアルフォンスとリンクしている


部分があるのではないか、と結論付けることが出来た。




「エドワードさん、そんなところで寝ていては風邪をひきますわ」




はそう言って、机に突っ伏して眠る彼の肩を揺らす。


机には読み散らかされた書物が所狭しと広げられている。


どれも賢者の石に近づくための資料たちだ。


没頭していたのだろう。


は薄く目を細めて金髪に指を通した。




「ん…」




もうぐっすり眠ってしまってる彼はもうこの程度では起きそうにもない。


少し体をよじらせただけでまた姿勢を変えて眠ってしまった。


ふう、と息を吐く。


頑張り屋さん。


言葉も、態度もすっごく不器用なくせに。


どこまでも他人思いで、優しくて。


相手のためにいくらでもこうやって勉強できる。


そんな頑張り屋さん。




「エド、」




もう一度名前を呼ぶ。


人体錬成を行ったあの日まで呼んでいた名前だ。


こうやって声に出してみると久しぶりすぎて少し震えた。


もう彼はこうやって呼ばれていたことなんて覚えてはいない。




ほんの少し寂しくなって。


ほんの少し悔しくなって。


意地悪を思いついてしまう。




「…、」


「ほ、うわっ!………ミ、!?」




噛まれた耳たぶをおさえてエドはばっと起き上がった。


くすくすと笑う


耳の痛みから自分がされたことに気づき真っ赤になる彼。


そんな彼に




「そんなところで寝ていたらまた“おいた”されますわ」




口をパクパクさせる彼に次の言葉を言わせる前に


は手をひらひらと振り、部屋の扉を閉めた。














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