(エドワード)















 涙でも許してくれる















水が跳ねていく。


大地に触れてぴちゃり。


一度拒絶されてバウンドする。


けれどもやっぱり最後には大きな仲間たちの元に戻っていく。


また会える。


そんな気がしてた。


また会える。


そんな気はしてた。


また会える。


それを望んだ。




「ごめんなさ、い」




ぎこちない関係だった。


私たちは。


偶然田舎の村で出会って


偶然に同い年の最年少国家錬金術師で


偶然に求めているものが同じで


偶然に旅の道のりをともにしたというだけの関係。


たまたまのもの。


偶然の奇跡。


奇跡の悪戯。




「ごめ、なさい」




しずくが落ちる。


大地をしっとりとぬらして潤わす。




「エドワードさん……」




押し殺した声で言う平謝りに彼はどう思っているのだろ。


怖くて顔が見られない。


汚い部分をこれ以上見せたくないからと、彼を拒む。


懸命に、拒絶する。


なのに




「エドワード、さ……エド、……エドっ」




声が震える。


反応が怖くてたまらない。


何をしても嫌われるようで、また、あの時のように、


何もかも忘れてしまうんじゃないかって思ったら。




“ もういいよ ”




頭をぐしゃぐしゃにしていた指先を解いて自分の指を絡める。


怯えるようにゆっくりと見上げようと思ったら


背中に触れたひやりとしたものに従うまま、抱きしめられていた。


背にあるものはきっと、オートメイル。




「……ぁ、…」




金髪が頬にかかる。


見上げた視界に移ったのは彼のなんともいえない耐えるような表情。


奥歯をかみ締めて目を閉じていた。




「ごめ、な……」


「もういいって!……もう、いいから…」




エドワードはそういって何もしゃべらなくなった。


少しだけ強く包んでくれていた。




水が跳ねていく。


大地に触れてぴちゃり。


一度拒絶されてバウンドする。


けれどもやっぱり最後には大きな仲間たちの元に戻っていく。


また会える。


そんな気がしてた。


また会える。


そんな気はしてた。


また会える。


それを望んだ。




いつの日かそれは叶った。














(あなたは優しすぎますよね?) (2009/06/06) inserted by FC2 system