Sunny place

















序章














その夜は雨が降っていた。




大地をうならせるほどの大粒の雨が男の身体に降り注ぐ。




男は自身の腕の中にいる少女に雨がかからないように気を配りながら




目的の人物に会うべく、扉をノックする。




そして、その名を叫んだ。









「ゴーリ!いないのか?」









暫くして現れたのは酷く慌てた様子の老人。









「久しいな」




「そうじゃな。・・・その子は?」




「・・・・・・・・・俺の娘、だ」




「そうか、お前さんが子供を・・・。・・・それより中へ」




「いや、俺はいい。だけ・・・頼む」









幸せそうな顔で眠っているを男はゴーリへと差し出す。




男の意図を悟ったゴーリはを受け取ると、静かに首を振った。









「いくのか?」




「ああ、俺にはまだ仕事がある…。は泣くかもしれないが…」




「わかっておる・・・。早く戻ってこいよ、この子の為にも…」




「そうするよ」









男は最後にそういうと、の額にキスを落として再び雨の降る道を戻ってゆく。









「さよならだ、・・・」









男の紡いだ声は雨のよってかき消された。














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あとがきという名のいいわけ

ファンタジア連載スタートです!

タイトルはSunny place・・・『陽だまり』です。
ほのぼのを中心とした作品にしたいと思います

(・・・といいつつ序章は暗め)
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