Angel's smile
刹那に私は刃を向けた――…
炭鉱都市ナルシェ 3
「やっと来おったか」
がティナをつれてナルシェの炭鉱へ向かった
ほんの数分後のことだった。
ナルシェのガードたちをぎりぎりまで繋ぎとめていたジュンは
裏口から入ってきた男に軽口をたたいた。
「ところで、ドロボウからは足を洗ったのか?」
「ど・ろ・ぼ・う?
俺を呼ぶならとレジャーハンターと言ってくれ!」
「ハッハッハッ!同じようなもんじゃろうが!」
「ちっちっ!大違いだぜ!!」
軽く舌打ちをしながら指を左右に振る男。
ジュンも盛大に笑ったかと思えば次の瞬間真顔になった。
男がジュンに用件を尋ねる…
「実は例の娘に会った」
「!? 魔導の力を持つという娘のことか?」
ジュンの言葉に男は驚きを隠せないといった風にジュンに詰め寄る。
「今は、この都市のガードに追われておる」
男に背を向け、ジュンはさらに続けた。
「この都市には、帝国に立ち向かうだけの力がある
だがその自治力の高さゆえにわれわれ地下組織リターナーにも加わろうとしない…
娘は操られているだけだという、わしの説得も聞こうとしない…。」
「…わかった。その娘を助け出せばいいんだな?」
「実はもう一人おるんじゃ…。名を、という。
誰も信じない冷たい瞳をしておった…………」
数分前の“彼”のことを回想して、至極寂しそうに目を伏せた。
そんなジュンをしばらく無言で見つめていたが、
男は「わかった。そいつも助け出そう」と約束の言葉を紡いだ。
ジュンはゆっくりと頷きながら――……
「フム。ひとまずフィガロ王国のところへ」
+
そのときは素直に綺麗だと思うことができた。
しかし“その時”は、だ。
の思考はすぐに現実に呼び戻され、
段々と近づいてくるガードたちの足音と、
たった今降りてきた男に軽くしたうちをした。
「……………まず、その手に持ってるものをおろさないか?」
「誰だ、貴様」
「(無視かよ…)…リターナーに組するもの、ロック!」
「知らんな」
考える間もないほどの即答に男…ロックは「そうかよ」と消沈する。
といえば、そんなロックのことなどお構いなしといった様子だった。
それでもどこか腕の中にいるティナをかばっているようにも見える。
そのとき大きくなっていたはずの足音が急にやんだ。
「オレは味方だ!信じてくれ!!」
「………。
…ティナに傷ひとつつけてみろ…。そのときは容赦しない」
フン…と不機嫌に鼻を鳴らすとロックに向けていたソードを今度はガードたちへと向けた。
ティナを丁寧に地面に横たわらせて、
駆けつけてきたガードたちの真正面に向かい打つ。
「戦えるか…?」
「…愚問だな」
「(コイツ…かわいくねぇな…)
そりゃあ、頼もしいことで」
「…………………フン」
が身構えたとき、背後からやってきたモーグリたちが戦闘に加わった。
槍や、剣、
なかにはブーメランからモーニングスターなど、
それぞれが自身の体長よりもいくらか大きい武器を使っている。
は思わず顔をしかめた。
「行くぞ!」
『クポー!!!』
モーグリたちの声が、炭鉱内に木霊した。
あとがき
ロック登場です!!(テンション↑↑)
解説いたしますと…
ヒロインはロックのことを完全にではないが、信用しました。
ただ、ほんの少しぴりぴりとしてるんですよ。