Angel's smile
















遠いね でも 近づいてるよね――…















砂漠の城フィガロ 6















「まて、ん?お前か…通ってよいぞ」




門兵はロックを見据えるなりあっさりとそういって、城内への立ち入りを許可する。


先頭を歩くロックを追うように二人は歩く。


そのうちの一人、は表情には出さないが不安そうに唇を固く結んでいた。




「どうしたの?…?」


「…え?何が…?」


「…。いえ、きっと私の気のせいね」




なんでもないの、と微笑むティナにも流されるままにそう、とつぶやいた。









 +









大きめの扉のノブにロックが手をかける。


何の躊躇いも無くひねりをまわすと、そこは王座の間だった。


ロックは一直線にイスに腰を下ろしていた王様らしき人物のところまでいき、2、3こと、言葉を交わす。


金髪で、まだまだ若い王様はティナへと視線を移して「この娘が…」とつぶやくように言う。


そしてその視界に、ティナの隣にいる桜色の髪の彼を映して一瞬言葉を詰まらせた。


が少しだけ眉を寄せる。




「誰?あなたは」


「おっと失礼。初対面のレディーに対してする態度ではなかったな。


 …私はフィガロ国王、エドガーだ」




すっと顔色を変えた王様には内心呆れ気味にため息を吐く。


エドガーの隣ではロックがへへ、と笑みをこぼす。




「俺が王様と知り合いなんてビックリしたかい?」




…そりゃあ、もう。


声には出さないが内心で相槌を打つ


その後、ロックとエドガーはいくつか言葉を交わす。


じゃあ、またな。とロックが言うとティなのとなりを横切って早々と城の外へと走り去った。


不安そうな表情をしたティナにエドガーは大丈夫だよと言わんばかりに微笑む。




「帝国の兵士だってな、心配はいらない。フィガロとガストラ帝国は同盟国だ。


 しばらくゆっくりしていくといい。


 それに私はレディを傷つけるつもりはない」


「なぜ、僕達によくしてくれるのですか?」


「私達のこの力が…」




ティナがしゅんと俯く。


はそんなティナに気を配りながらエドガーの次の言葉を待った。




「まず君の美しさが心を捉えたからさ。第2に君の好きなタイプが気にかかる…。」


……………




前者に人差し指を。


そして後者に中指を立てるようにしてエドガーは言った。


その後の長い沈黙は勿論だ。


はそっと、額に手を添えた。




「魔導の力の事はその次かな」


「………?どうしたの?」


……………


「私の口説きのテクニックもさび付いたかな?」




はは…と乾いた笑みをこぼしながら、二人の隣を歩いていく。


とん、との肩に触れると「少し話をしようか…」と笑顔で誘った。


は一瞬面倒くさそうな表情をあらわにしたが、


ティナに城の中を見てくることを薦める。




「うん、そうする」


「迷うなよ」


「ええ」




また、後で…と寂しそうに手を振るティナ。


はエドガーに聞こえるように舌打ちをして、彼の後を追って王座の間を後にした。




「そうなのね……。普通の女の人なら、その言葉に何かの感情を持つのね。でも私は……。」




一人になったティナはポツリとつぶやいた。









 +









「お久しぶりですね、王様。」




連れてこられたのは屋上。


しばらく続いていた沈黙を先に破ったのはのほうだった。


少し冷たい雰囲気のある敬語で話す。




「5年ぶり…でしょうか。…まさかこんな形で再会できるとは思っても見ませんでしたよ」


「じゃあ、君が…あの時の」


「覚えていただけたなんて光栄です」




心のこもってない形だけの礼をする。


わざとだ。




「僕の事を公にしないでいてくれてこと、感謝します。何かと後の事が面倒でしたからね」


「ん?…どういう意味かね。…………あと、そのなれない敬語は私に必要ない」


「…。あんたはこうは考えなかったのか?




 “こいつは帝国のスパイだと…”」




にやりと、口角を持ち上げた。


今まで背を向けていたエドガーがゆっくりと振り返っての瞳を見つめた。









笑顔と言う名の仮面で素顔を隠して














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あとがき

第6話更新です
エドガー王の登場っすね!!
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