Angel's smile
















抱いたのは彼への僅かな罪悪感――…















 残された希望 100













行動を開始したエドガーから一度離れはパブにいた。


そこにはこれから共に行動する輩どもが楽しげに酒を嗜み


盛り上がっている真っ最中だった。


酒のにおいに混じって豪快な話し声が交差する。


は被害の及ばない場所に座り何食わぬ顔で耳を傾けていた。




「フィガロ城の牢につかまってたそうだよ」




店員がグラスを拭きながらそっと言った。


ドンチャン騒ぎにまぎれてしまうくらいの音量だったが


当然の耳には届いていて目線だけを向けて


それ以上の反応は送らなかった。




『ボスはフィガロに乗り込む気だ』


『俺達の宝がフィガロの倉庫にしまってあるからな』


『牢屋がぐうぜん大ミミズの巣につながったんだ』


『そこを通って地上まで出てきた』


『前のボスはあの日に死んじまったよ』


『今はこの町で出会ったジェフがボスさ』


『俺達だけが知っている秘密の洞窟からフィガロ城にのりこむのさ』




駄々漏れの会話。


は状況を理解しほう、と息を吐いた。


席を立ち上がると静かにパブを抜け出した。









 +









(おっと…)




パブのすぐ近くにちらついたのは気にかけていたセリスとマッシュの姿だった。


それだけならまだしも、その二人の隣にはエドガーの姿がある。


今傍には近づかないほうがいいなと悟った


彼らの死角の場所に素早く移動した。




『も、もしかしてエドガーじゃない?』


『わけのわからない事を…』


(おいおい…いきなりバレてるじゃないか……)




ジェフは子供の商人からりんごを受け取り金を払った。


話をそらそうとしているようだったがセリスはしつこく食らい付く。




『これからフィガロ行きの船に乗るのにいそがしいんだ』


(ふーん…フィガロ行き……。大ヒントだね)




本当の行き先はサウスフィガロ。


そこをあえてフィガロといい、しかもそういった行き先を


あらかじめ告げるということはすなわち「付いて来い」のサイン。


頭のいいセリスならすぐにわかっただろう。


…。


…否、気づかなかったようだ。




『とぼけないでよ、エドガー?それとも……記憶をなくしたの?』


(………あらー)


『オレは生まれた時からあらくれ者のジェフって名さ、レディ』


『レディなんて言うのはエドガーさんだけよ』


『レディにやさしくってのは世界の常識なんだよ』




ほう、とため息をつく


しかしこれで疑って付いてくる事は確かなものになった。


フィガロの故障の原因が分からぬ以上、人手は大いに越した事はない。


それ以上二人が付いてこなくなった事を確認して


はそっとエドガーに合流した。


それからエドガーが前もって手配しておいた船へと移動する。




「食べるか?」


「どうも。……どんな感じ?」


「どうもこうも、行ってみないと何にもいえない状況だな」


「弱気?」


「まさか」




必ず助け出すさ。


ジェフの面が一瞬はがれて国王の表情になった。









 +









「フィガロ城に入る方法はお前らがよくしっているな?」




ジェフがそう言うと子分たちは口をそろえて「おー」と肯定した。


はおろした髪の上からフード付きのマントをかぶりって


甲板の端に腰をかけていた。


潮風に時折フードが揺れている。




「案内してくれ。潜入してから俺が指揮をとる」




そしては視界の端でちゃんとセリスとマッシュの二人が


船に乗り込んだ事を確認した。


微かに表情を緩めた。




「あの…ボス。その女は?」




一人が気を遣いながら尋ねてきた。


女というのが自分のことというのに一瞬間があったのは言うまでもなく……


けれどもエドガーは冷静に応えていた。




「俺の女だ。手を出すなよ」


「!へ、へい…!」


「………」




は静かに彼を見上げた。


確かにそういっておけば不用意に近寄ってこられないだけありがたい。


けれども内心複雑だった。


仕方ないと分かっているからこそ、暗黙の了解で了承するが。




「………」









視線に気がついたエドガーはやはり余裕気に笑っていた。














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あとがき

祝!100話!

100というキリのいい数字なのですが
内容は変わらずいつもどおりで…あらあら。

次くらいにはもうアイツに出会っていたいですよね。
さっさと流して早くロックを――(おいまて
ry…
だってさぁ。
早く会いたいじゃないですかぁ(書きたくて仕方がない人。

兄様も書きたいうちの一人です^^
ん…でも他のキャラと違ってどこで再会させるか
まだ考えていないのです^^;
「ケフカに支配される」というのをボツにしたばっかりに←ぇ

ということでぽちり (殴)
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