Angel's smile
いつかまた会いに来るよ――…
残された希望 102
機械に絡みついた触手がいきなり殴りかかってきた。
けれども四人は簡単にそれを避けて次に備えた。
触手の中でも特に巨大に四つが殺気をむき出しにしている。
とっとと終わらせよう、と考えたは一番に魔法を繰り出した。
杖をふるうと、光の軌跡が中に残って思わず見れてしまう美しさがある。
「黄泉への回廊に迷え、滅び行く血肉とともに」
バイオ、と呟く。
瞬時に毒に蝕まれうねりながらも抵抗している。
おいおい、機械を傷つけないでくれよ、なんて言いながら
エドガーも回転ののこぎりで切り落としていった。
内心「自分だって…」なんて思いながらもは黙って、そして少し笑っていた。
こうやって共に戦っていた日々が懐かしく、愛おしく思えたから。
+
「しらばっくれて」
セリスはソードを軽く薙ぎ払って鞘に収めながらため息をついた。
いままで“ジェフ”だと言い通していたことが気に食わなかったご様子。
仲間なら相談して欲しかった、というのがセリスの本音だろう。
エドガーはそのことを知っているのか苦笑しているだけだった。
代弁するようにがセリスに事情を説明する。
フィガロが砂の中で故障したということ。
そしてそれと同じごろに牢屋からあいつらが出てきたと言う情報を聞きつけたこと……
「利用したわけね」
「秘密の洞窟に案内してもらうまでフィガロ王だって事をバラすわけにはいかなかったからな」
「かつては自分達を牢に入れていた王様だからね」
「みずくせぇな」
和解がすんだころに奥の扉が騒がしくなっていった。
先を進んでいた子分たちが戻ってきた事を理解してエドガーは隠れるように言う。
機械の陰に身を潜めたころ、フィガロのお宝を手に
和気藹々としていた一同の表情が一気にこおりつくのが見えた。
「ボス!……?ボス?」
「もしや、あの怪物にやられて……」
「短い間のボスだったけど…」
誰かが「行こうか」といって、全員が賛同した。
ゆっくりと消沈した歩調で盗賊たちは去っていく。
その背中を見送りながらはエドガーに「よかったの?」とたずねた。
彼らが手にしていたのは明らかに高値で高価なものばかりだ。
それを手放してしまうなんて――
さっきまで盗賊たちがいたそこには名残惜しそうな視線を送る。
ぽふ、とエドガーが頭を叩いて大人の余裕の笑みを浮かべて見せた。
「宝などなんの価値もない。本当の悪はケフカさ。やつらには罪はない」
「………うん」
「またハデにやらかそうぜ!アニキ!!」
「一緒に行きましょう!」
四人が互いに頷き合うと、機械室を後にする。
エドガーが一度奥の部屋を覗いたのでが不思議そうに首を捻った。
「何してるの?」
「いや、ちょっと……忘れ物をね」
「!」
ロイヤルクラウンを片手に薄く微笑むエドガー。
ちゃっかりしてるじゃん、とは笑った。
+
機械の進行を妨げていた触手たちを取り去った事で
フィガロのシステムも回復を見せた。
真っ先にフィガロを陸の上へと浮上させると
時間がたつにつれて家来たちの顔色も良くなっていく。
それを見てエドガーもやっと安心したような表情を見せてくれた。
人への思いやりをもつところはなんとなく惹かれるところだ。
「これからどうする?」
「コーリンゲンへ行こうよ。飛空挺のない僕たちの移動手段ではそれしかないよ」
「だな!コーリンゲンへはこのフィガロで移動できるわけだし」
「そうね。とりあえずコーリンゲンへ」
うん、と全員が頷き肯定する。
話を聞いていたじぃやが「えんやこーらー」と威勢のいい掛け声を上げた。
+
コーリンゲンへ一歩足を踏み入れるとようやく緊張してる自分に気がついた。
ここにはあまりいい思い出はない。
いろいろあった。
今ならばレイチェルに会える気がしたけど、は静かに首を振った。
今はまだ会うべきではない。
次に会うときは――ロックも一緒のときだ。
「酒場…か」
「何か手がかりがあるかもしれない」
「入ってみようぜ」
マッシュが先に酒場へと入っていった。
酒場独特の湿った木と酒のにおい。
最も強く臭いを纏う場所に人目目をやれば見た事ある人物がそこにはいた。
「セッツァー!」
また一人、仲間を見つけた。
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あとがき
102話ですね
なかなかサブタイトルかえられなくって…(涙)
いい加減変えたいのだけれど中々機会なかったです。。
やっと歯切りがよいとこまで来たので
次からかえちゃいましょう!
……で、なんにしよう。。(オイ
あぁ、後4日ほどでこのサイトも三周年目に突入ですよ。
何かはやいなぁとか思いつつ、
この連載も大分つながってこれて嬉しいの一言。
頑張りたいな。
ということで
ぽちり
(殴)