Angel's smile
















手作りの造花…よくできてる――…















 Last letter 107













「そう…じゃあティナとさんはモブリズに残ることにしたのね」




飛空挺の中。


エドガーから話を聞いたセリスは複雑そうだった。


魔法の力が消えた、という事件は前にもあった。


コーリンゲンからゾゾを目指したあの旅の途中。


は確かに戦えない状態だった。


その事を思い出していたのだ。




「まぁ兄さんに“ティナ傷つけたらサンダガ”って脅…


 …言っておいたし大丈夫なんじゃない??」


「(脅すって…)そ、そう…で、さんはなんて?」


「――ん??……、」


「“ロックさんに告げ口覚悟の行動なの??”だとさ」


「ふふ…さんらしいわね」


「ば…っ!言うなっていったろ!エドガーッ!」




悔しさいっぱいのは赤面し、吠えた。


そんな子供っぽい彼女に対し、エドガーが酷く大人びた態度で


「まぁまぁ」と宥めるので、は左手に


微量の電流を流してエドガーを噛み付こうとする。


懐かしい光景にセリス、マッシュは腹を抱えて笑いあった。




「おいおい、ようやく手に入れた翼を墜落させる気か?」


「――、」




セッツァーの苦笑交じりの一言で


はふん、と拗ねる。


やれやれと目じりに溜まった涙を拭ったマッシュは


思い出したようにロックの名前を口に出した。




「たっくよー、こんな時ロックがいりゃあ決着付かずで


 いつまでも口げんかしてた所だよな」


「失礼な…あれはロックが――」


「はいはい、そこまで。そんなこと言って…


 早く会いたくてしょうがないんだろ??素直にな、れ、よー」


「っ、もう黙れマッシュ!…むしろ双子!!」




ビシッ!…といったにエドガーは余裕の笑みで笑っている。


左手にサンダーを蓄えかけたところでセッツァーが


「おいおい…」と呆れ返った言葉を紡いだので


完全には機嫌を損ねてしまったようだ。


ふい…と甲板の端にいって、そして、ぼそりと呟いた。




「馬鹿ロック…見つけたらただじゃ置かないからな……もう」









 +









飛空挺は白い鳩の飛び立った方角…マランダの傍に止められ、


食料、燃料の補給の為にも全員で村を訪れることになった。


幸いマランダにはモズリズほどの損傷は見られなかった。




「あら…さっきの鳩だわ」


「どこ…?」


「ほら、あそこに」




町の奥へ進んだところに鳩たちはたむろしていた。


どうやらあの鳩たちは伝書鳩のようだ。


背中のポーチのようなところから住民が手紙を取り出しているのが見えた。


その中の一羽…


赤い花を背負わされた鳩がくたびれていた。


赤い花を取り、優しく鳩の頭を撫でてあげている女の人が


こちらの視線に気付いたらしく、ふわりと微笑んで、お辞儀した。




「見て。この家の中にある花はみんなモブリズにいる彼が送ってきてくれたの。


 よーく見て、手作りの造花よ。草木が花をさかせなくなったこの時代に、


 彼がつくってくれた花…これが彼からの手紙…」


「(???モブリズはケフカの裁きの光で…?)」


「(誰かが、かわりに手紙を…?)」




疑問に思ったとエドガーだったが、


顔を見合わせるだけで何も言わなかった。


女性の名前をローラといった。


ローラは嬉しそうに頬を紅潮させながら意気揚々と話す。




「愛するローラへ


 村の再建も、一区切りついて…そろそろ国に帰ろうと思っていたところでござる…」


「(…なんか文が……)」


「(カイエンっぽくない?……)」




手紙を見せてもらったマッシュとが文章を見つめ、黙り込む。


ゾゾで分かれたときにはそんな素振りは見せてなかったのに…


その後か、とは頭を抱えるように俯いた。




「彼への返事、伝書鳥のところまでとどけてくださいませんか?」


「ええ」


「ありがとうございます」




彼からの返事がよっぽど待ち遠しいのかスキップでもしそうなほどに


喜びを隠せないローラ。


ローラが家の中に入っていくのを、は黙って見つめていた。




「ねぇ、この手紙…どこから送ってきているのかしら?」


「!…鳩を追いかけてみたらどうだ?送り先がわかるかも…」


「もう船の準備は整ってるぜ?」


「じゃあ出発だな」




鳩に手紙をくくりつけた


よろしくね、と頭を撫でた。









(多分…ゾゾなんだろうなぁ…)














←Back Next→

あとがき

107話更ー新!(ショワチ

新しいタイトル…「Last letter」
映画のタイトルみたいでカッコイイですねぇ…Σd(ゝ∀・)
いつもに比べると一瞬で決まったこのタイトル
一発でカイエン編だとわかりますね^^

ボス戦も入りますが、3か4話程度…かな。
(予定は未定ですけど;)

ということでぽちり (殴)
inserted by FC2 system