Angel's smile
















洞窟内部で電光が迸る――…















いざ!コルツ山へ 11















、マントはどうしたんだ?」




サウスフィガロへと続く洞窟の入り口…。


四人はそこで一度チョコボと別れ、入り口を監視していたフィガロ兵のもとへ歩み寄る。


そのときを見たロックが小さな異変に気がついたのだ。




「ん…?落としたんじゃないか?」


「砂漠のど真ん中に食料も添えて、かい?」


「…。さぁな、それでも何日持つか…。


 どこかの王様が助けでもしないと餓死の前に日干しになるんじゃないか?」


フ…、言うね


どうも


「…………………二人は何の話をしてるんだ?」




途中から割り込んできたエドガーとの会話が理解できなかったらしい。


助けを求めるようにティナへと視線を動かしたロックだったが、


苦い笑みを浮かべた彼女を見て、「俺だけ仲間はずれかよ…」と唸った。


エドガーが「こっちの話だよ」と慰める。


フィガロ兵はカッと靴を鳴らして敬礼した。




「エドガー様どちらに?」


「洞窟を抜け、東のサウスフィガロの町を目指す。その後、北のリターナーの本部へ赴く。


 フィガロ城に戻ってこのことを伝えて欲しい


 それと…」




エドガーが小声で何事かを伝える。


兵は一瞬目を見開いたが、




「はっお気をつけて!」




と再び敬礼すると、チョコボに飛び乗りフィガロへと走り抜けていった。


その姿を最後まで見つめていたはエドガーに小さくお礼を零す。


エドガーと


その二人の表情は満足そのものだった。




「助かるといいわね」


「そうだな」


…………………マントが?


…あぁ、そうだな!


「お前!わざとだな、今の…っ!」


気のせいだ


「絶、対!わざとだ!!」




一人見当違いなことを言っているロックと、


呆れながらそれを軽くあしらう


エドガーは傍からそれを見つめやれやれと肩をすくめた。




「おいていくぞ」




そういって、仲のいい二人を制したのだった。









 +









洞窟の中に入ったすぐのところに広がる光景にが関心気味に「へぇ」と漏らす。


広がりを見せるのは大きな空洞。


そして、その真下を大きな泉が存在していた。


がその麓へと歩み寄る。




「少しだけど…魔力を帯びてるわね、


「うん、僕も今同じ事思った。湧き水…かな?」




暖かいものを感じて近寄ってみたのだが、その水は冷たい。


指先にひんやりとした柔らかい感触を確かめながら、ぺろりと口付ける。


確認して確信を得たはそれでも多分と曖昧に言葉を濁した。




「湧き水に、魔力が宿るものなのかい?」


「んー、いや?そうとは限らないけどさ。多分この辺りは魔大戦のときの名残があるんでしょ?…多分」


「名残?」


「想像だけどね、魔大戦のときに受けた魔力が長い年月を掛けて水に浸透していくんだ…」


「…なるほどねぇ…。それは俺達が飲んでも大丈夫なのか?」


さぁ?飲んでみれば?


てめぇ…




拳を振り上げて怒ったふりをするを今度はティナが制する。


怒ったふりといっても「お前」から「てめぇ」にかわっているところを見ると少しは怒っているようだった。




に悪びれた様子はない。


だが、「意地悪しないの」とティナに言われて、ちぇと不満げに反省するのだった。




「ティナも一口飲んでおきなよ?さっきの戦闘で結構魔法使ってたし」




治癒能力があるみたいだし、と付け加えては腰のポーチから空き瓶を取り出して水を入れる。


ふたをしてポーチへと再び戻すと、何事かと見つめてくるエドガーに予備だと伝えた。




「さて…時間とって悪いね


 今から向かうのってサウスフィガロって言ったよな…?」


「そうだが?」


「ふぅん…」




聞いてきた割には曖昧に濁す。


は何かを思い出すように指の裏を口元へ近づけた。


その表情はさっきとは打って変わって真剣そのものだった。




「その町…どうしても通らないと駄目なのか?」


「あぁ、これから向かうコルツ山には毒性を持つ植物がいるからな…毒消しを買っておかないと…」


「毒なら僕達が解毒するってことで…ティナもポイゾナ使えたよな?」


「ええ、大丈夫」




毒消しも予備があるし…と付け加える


の発言はサウスフィガロを遠ざけようとするものだった。


それも、遠まわしに…


ロックは意図が読めずに首をかしげて、エドガーは理解しようと試みた。




「サウスフィガロに何かあるのかな…?」


「恐らく…僕の記憶が正しければ…ね」


「わかった」


「…信じてくれるのか?」


「信用してくれといったのは君だ」


…言ったっけ?


細かいことを気にしちゃいけないよ…


うん…




空気を読んで了承する


どこか重たくなった空気をロックが「決定だな」といって明るいものへと変えた。




「だったらこんな洞窟さっさと抜けようぜ」




ロックの一言で他の三人は頷いた。









 +









「少し暗いな…」


「明かり、つけようか?」


「すまない…頼む」


「…。じゃあ、金属性のものを持ってる奴は放電と感電に気をつけろよ?


「「( 何する気!?!? )」」


それは私限定で言ってるのかね?


他に誰がいる


「「きゃー!、やめろ(て)ーー!!」」









慌てるロックとティナの声が、洞窟内に木霊した。














←Back /Next→

あとがき

ちゃららと11話更新です
ギャグ風味に挑戦!
私はこういうの好きだけどなぁ…
inserted by FC2 system