Angel's smile
Become a beacon of hope. ――…
地下組織リターナー 17
遠い記憶
ぼんやりと虚ろに…浮かび上がる
お父さんとお母さんのの面影…
手を伸ばしても、もう届かない
掴んだその掌には何もなくて
寂しさだけが積もっていく
誤魔化すように手の平を握り締めた
『そんなに強く握ったら壊れてしまうよ?』
そういって
笑って
泣いて
…消えた
+
「バナン様、これは…」
光景を目に焼き付けながらエドガーが尋ねる。
目の前に横たわるのは。
たった今、駆けつけたマッシュとエドガーが近くにあった個室のベットに寝かせたところだ。
横たわるの表情はお世辞にもいいものとはいえない。
肩は酸素を求めて上下を繰り返し、肌の色は血の気が引いたような色だった。
が時々嫌々をする。
「魘されてるな…」とロックが零した。
だが、“それまでは”のはなしだ。
がいつも大事そうに首にかけているペンダントがかすかに光ったかと思うと、
全身の隅々まで光が浸透していき、いまでは落ち着きを取り戻していた。
表情は先程よりいくらか(それでも少し苦しそうだが)楽そうで、
静かに呼吸をしている。
肌色も赤みを帯びていた。
エドガーの第一声はその光景をみて、だった。
「この様子ならわしの祈りは必要ないな…」
「…と、いうことは?」
「もう大丈夫じゃ」
ロックと、エドガーが安堵の息を零す。
「じゃが」とバナンが続けた。
「暫くは安静。原因が疲れやストレスからきておるものなら尚更…」
魔法も当分は控えた方がいいだろう。
と付け加えて、マッシュとともに戻ってきたティナが扉から顔をのぞかせているのを横目で捉え、
席を譲るかのように部屋を後にする。
恐る恐るといったようにティナはマッシュに背中を押されるように部屋の中へと足を踏み入れる。
エドガーがマッシュに視線をあてて、良くやったと言わんばかりに口角を持ち上げた。
「…は、あの…」
「あぁ、もう大丈夫だってさ」
ロックの言葉にティナの表情は明るいものへと変わる。
だが、それはほんの数秒ですぐに眉を寄せた。
責任を感じているのだろう。
エドガーがが眠っている事を気遣って、
一先ず部屋の外へと、提案し、3人はそれに了承した。
+
薄い暗闇にヒカリが差し込む。
懐かしいぬくもりに抱かれ、は目覚めた。
勿論それは夢の中のお話。
「気分はどう…?」
「あぁ、大分いい」
「ふふ…良かった」
女性の口元から笑みがこぼれる。
は自身の身体を起こすと座りなおした。
「サウスフィガロにね、あなたのお友達が捕らえられているわ」
「サウスフィガロ…?前はいくなって言わなかったっけ?」
「状況が変わったのよ」
面倒くさそうにが相槌を打つ。
「サウスフィガロ、ね」
「ええ」
友達…と口の中で復唱する。
隣で女性が朗らかに微笑んだ。
「(そういえばこの人の雰囲気って…)」
頭の隅でぼんやりと考えながら「そろそろいくよ」と女性に伝える。
寂しそうに笑う彼女に自然な動作で近寄ると、
は女性の額に口付けた。
まぁ、と嬉しそうに彼女は声を上げる。
は照れくさそうにふい、とそっぽを向く。
「またね」
「ええ、“また”」
最後を強調するように言う。
なかなかいい性格をしてやがる。
ふっと、笑うと視界を閉ざした。
僕は光に手を伸ばす
お父さん、お母さん
正直ね
少し怖いよ
でもね――――……
今度は壊さないように
やさしく 触れる
そして…
… 掴んだ …
あとがき
17話です
あぁ、何故だろう…。
段々と横道に…(それて…っ)泣
ハセガワ先生の書き方を尊敬しています
でも深が書くと…意味不です(無駄な努力でしたっ)
次くらいまで閑話が続きます