Angel's smile
















繋がれた糸 辿って 辿って――…















地下組織リターナー 19















くい、と口の端を持ち上げながらがそういって、


エドガーは嬉しそうにそうか、と紡いだ。


少量ではあったが、食べ終えたおかゆの小皿を適当なテーブルにおくと、


は起き上がり、たたまれていた帽子に手を伸ばす。




「もう、おきても大丈夫なのか?」


「…まるで僕が病人みたいなものいいだな」


「…ん?どこに違いが?」


「…。最近僕に冷たくないか?」


「気のせいだよ」




はは…と乾いた笑みを浮かべながらエドガーは目を背ける。


そんなエドガーには睨むように視線を向けた。


ため息をひとつついて帽子をかぶる。




「部屋の中だぞ?」


「いいんだよ。…お守りみたいなもんだし」


「そうか…」




エドガーはもう一度そうかと呟いて、ぽんと頭を叩いた。


身長さのせいで見上げる形になりながら、は小首をかしげる。


とんとん、とノックが聞こえてマッシュが部屋の中の二人を見つめながら言った。




「バナン様が皆を集めてくれってさ」


「ああ、今行くよ。…は?」


「だから病人にするなって…」


「んぁ?どっか違うのか?」


「………(ムカ)」




こき、との指がなる。


笑っている。


ただ、それはどこか黒い笑みで、マッシュはうっと言葉を詰まらせる。


「大丈夫そうだな」とエドガーが呟いた。









 +









さて……。




バナンが集まった仲間達を見渡しながら切り出した。


ひとつの大きなテーブルを囲うように全員が腰をかけている。


あの、人と距離を置きがちのも輪の中に入っているのだ。


その辺りからはことの深刻性を感じずに入られなかった。




「帝国が魔導の力を用い、戦争を始めたのは皆も知っての通りだ。


 だが、ガストラがどうやって魔導の力を復活させたか?…ポイントはそこだ」


「ロックに調べてもらったんだが、ガストラは世界中の学者を集めて、


 幻獣の研究を始めたらしいんだ」




エドガーが報告するように話す。


ロックは「ナルシェの攻撃もそのためだ」と付け加えて、を見据える。


は深く頷いた。




「つまり魔導の力と幻獣に何か関係があると……」




ティナが疑問を口にする。


若干となりに座っているの様子を気にしながら、だった。


気付いてはいるのだろうが、は何の素振りも見せない。


ティナはぎゅっと目をつぶり、開いたときにはバナンを見据える。




「魔導と幻獣……この2つの言葉で思い出される事はひとつしかない……」


「もしや…」


「魔大戦…」


「その通り、魔大戦じゃ」




ポツリと呟くように零したの言葉に頷きながらバナンは言う。


その単語にはこの場にいる全員の耳に聞き覚えがあるらしく、


周りに集う兵達が「おー」、「まさか!」と驚きを口々にした。


はそっと目を伏せて、自身の掌を見つめる。


小さく息を吐くとぎゅっと握り締めた。




「魔大戦の悲劇がまた繰り返されるっていうのか?」


「わからん。もう1000年も前の話じゃ。歴史学者によって様々な説があるからのう」


「そのうちの一説に幻獣から力を取り出して人間に注入したってのがある…」


「それが、魔導の力……」




トーンを落とした声でティナがゆっくりと言葉を紡ぐ。


バナンはゆっくりと頷いた。




「帝国に立ち向かうにはこちらも魔導の力を手に入れるしか…」


「ならん!それでは魔大戦と同じ間違いをすることになってしまう」





てか、無理だろ…。


は内心呟いた。


幻獣の中の力を取り除いて人間に注入する。


注入に成功した人を魔導士と呼ぶというのも小耳に聞いたことがあるが、


何しろ成功率が低い。


逆に成功したとしても、魔法の力に犯され精神崩壊するケースも少なからずある。


…ケフカなんかがいい例だ。


それに失敗した“人間”がどうなるかってのは…伏せておくけど、


あまりいい考えではないことには変わりはない。


は暗黙のまま話の続きに耳を傾ける。




「幻獣と話ができないかと考えているのだが、どうだ?」


「!」


「幻獣と!?」




ロックが驚いた、という風に声を上げた。


バナンはしっかりと頷き、


「危険じゃが、ティナとをもう一度反応させれば幻獣が目覚めるかもしれない」


と付け加える。




「本当にそんな事が…」


「確かな事は言えないが…しかしこれには協力が必要じゃ」


「ティナ…。…」




その場にいた全員の視線が二人へと向かう。


ティナは一度に視線を投げたが、


口角を持ち上げて薄く笑ったにしっかりと頷いた。




「やってみましょう」「やってみよう」




二人の発言に安堵の息を零す面々。


話に不参加だったマッシュも一通りを聞いて「面白そうだな」と興味を示した。


そのとき…










――… バタッ …――














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あとがき

19話でしたぁ!
本当は作戦会議の部分を全部終らせる気で書いていて、
サイズをみると6KB弱…(いつもは3〜4くらい…)
慌てて繰り上げさせてもらいまししたぁ…^^;

次で3グループのうちのどこかに入ります。
…勘のいい人はもう気がついてるかもね(´w`*)
深は捻くれものだよぉ…。(他所とは違うものを求めるの意)
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