Angel's smile
















何が起きた…?


否、何故何も起こらない?――…















雪平原の死守戦 27















「やはりその程度の毒攻撃じゃあ…貴方には通用しないようですね」




聞こえは酷く残念そうなもの。


だが彼の本心は紡いだそれとは真逆のものだろう…。


はケフカを見据えたまま、ケフカに皮肉を返した。




「おかげ様でな…!」




震えがとまらない。


発した言葉が震えていなかったのは偶然だろう。




怖い。


怖い。


怖い。


怖い…。




ぐっとスタッフを握り締めると、主人の意思に反応しているのか


傍にいたセリス、ロック、そしてカイエンにケアルをかけた。


セリスはブリザドで敵の動きを止め、ソードを再び手の中に収める。




さん…!一人で戦おうとしないでっ!」




はゆっくりと振り返り薄く微笑んだ。


それが何を意味しているのかはわからない…。


けれど…





「(声が…届いてない…?)」





セリスは眉根にしわを寄せた。


ロックとカイエンはなんとかの傍に駆け寄ろうと必死にモンスターをなぎ払う。


力量以前の問題…圧倒的な数の多さにロックは「くそっ」とはき捨てた。















「ずいぶんと変わってしまいましたねぇ…。私は…昔の貴方の方が好きでしたよ?」




甲高い声。


人を小ばかにした口調。


にやりと細められた瞳。


笑い声。




… 逃げ出したい …




は沈黙を保つ。


奴の話に耳を向けるな…




キクナ


キクナ


キクナ


キクナ…









君が見たらなんていうでしょうねぇ」









「…ぇ…?……………」




何故そこでその名前が出てくるんだ?


何故その名前を今ここで出した?


何故…




「…に…………、何かしたのか?」









つり上がる口角。





ゆっくりと紡がれる言の葉。





暗転





目を大きく見開いた。





瞳が小さくなって虚ろに揺れる。





涙が零れ落ちた。














 セカイカラ オトガ キエタ














 +









「どういう…ことだ…?」




湧き上がった疑問をセリスへと向ける。


セリスはグッと拳を握り締めて、ロックの問に答えた。




の最後の肉親…」









のお兄さん。









ロックは目を見開いた。


同時にぎりっ…と奥歯をかみ締める音が聞こえた。


ナイフを握る拳に力が入る。




ケフカの悪言を受け膝をついた


もう、声は届かない…


カイエンがほう、と息を吐いた。




「ロック殿…足に自身はあるでござるか?」









 +









ゆりかごが二つありました。




ひとつのかごには女の子。


生まれてすぐ魔法の力を使い、ちょっとからかい癖のありましたが、


本当は素直で心の優しい子でした。




もうひとつのかごには男の子。


生まれてしばらくして魔法を使い、何時も女の子の後ろの隠れる気が弱い性格。


けれども、一番に妹の事を思いやれる優しいお兄さんなのでした。




二人は双子。


ミラー・ツイン。




ずっと一緒。


何時も一緒。




「ずぅっと一緒にいようね」


「約束だよ…?」




二人はその小さな小指同士を絡ませ、指きりをしました。









今、二人は離れ離れでいます。




男の子は帝国の牢獄の中にとらわれ、


女の子は男の子になりすまし帝国の兵器として剣を振るっています。









女の子は望みました。




 私は何でもします。


 言う事を聞きます。


 いい子にします。


 人を…殺します。




 だから私の仲間を…


 お父さんを、


 お母さんを、


 お兄さんを、


 仲間を…


 みんなを、




 傷つけないでください









帝国は言いました。









「いいでしょう…。さぁ…ここにいる奴らを皆殺しにするのです!!」














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あとがき

2…27話更新ですぅ…
先に非礼をわびます…

ちょっとどころじゃねぇーーーーーーー!!!!!!!

誰だよちょっとだけ堕ちてみようかな…とかいった奴!?(アンタだよ)
怖いよぉ…。もうこんなこと平気で書けちゃう自分が怖いよぉ…ゥヮ―。゚゚(PД`q゚*)゚。―ン
しかもティナたち放置だしぃ…
ティナのグループはバナンの護衛。
一人になったマッシュのところにはガウがとっさに入り、ちゃくちゃくと片付けています。
そこまでかけなくてゴメンナサイ…
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