Angel's smile
















を、守ってやってはくれぬか?』




曖昧な意識の中で声が自身の意識に触れた。


淡く色づくそれに手を伸ばすも、


指先が触れたのは硬い魔石だった。


とても暖かいものがさっきまでは感じられたというのに


指先で感じるそれは悲しいほど冷たい。




「……?」


の母はもともと光の属性を持つ幻獣…


 その血を継ぐもまた光をつかさどるのじゃ


 …そして何より一番に気をつけなくてはいけないものがある…』




それは?


脳裏で呟くも声には出さなかった。


それでも彼はわかってくれたようだった。




『 “闇”じゃ 』


「…!」


『真逆の性質を持つ闇こそ、彼女にとって一番恐れるべき存在…』


「(もし…闇が触れれば…)」




いったい、どうなるんだ?


自分は静かに聴いた。


けれども心中穏やかなものではなかった。


それでも彼は一層穏やかな口調で、




の存在を、静かに蝕んでいくことじゃろう


 …しかしすでに一度、帝国の何者かによって


 一度闇に触れてしまったようじゃ…


 時折起きる発作はそのせい――


 そして出来るだけ早く、体内に残留している闇を


 取り出す必要があるのじゃ…』




“ 闇が完全に多い尽くしてしまうその前に、な ”




静かに見開いた瞳。


知らされた事実が、たちの悪い夢であればいいのに――…















 マリア交響曲 47














「マリア…!?」




肩に手をかけて唐突に彼がそう叫んだものだから、


五人の視線は一気に彼へと向かった。


通ったものの寄ることはなかったジドールに


エドガー、マッシュ、セリス、ロック、はいた。


レンガ造りの綺麗な町並みを目に焼きつけ、


は2日前にいたばかりであるゾゾとの差を


その目で感じ落胆をそっとため息にして吐き出した。


ひっそりとついたそれだったが、気づいたものもいたようで、


その中で反応を見せたのはマッシュだった。


昨夜の野宿で少しばかり仲良くなった二人。


頭をそっと撫でられてはぶっきらぼうに視線をそらした。




さて、話を戻そう。




「わ、私のこと?」




肩に手を置かれ、呼び止められたセリスは驚きを隠せない。


その仕草を見て彼ははっとなり額に手を添える。




「すまん、人違いだった。その女性が私の劇団の女優にあまりにもにていたので…」




あーこまった。と彼は早々と屋敷を出て行った。


沈黙する一同。


セリスを囲み「セリスがマリアに……?」と全員が思った。


眉根をよせ、複雑そうな表情のセリス。


それが何処か嬉しそうな風に照れを隠すセリス。




「あ…」




振り返りざまに見つけた白い封筒。


きっとさきほどのダンチョーが落としていったのだろう。


この家の主が近づいてきて




「オペラ座で芝居をやってる劇団長なんですよ。


 皆はダンチョーって呼んでますがね。


 そんな手紙が着たもんだから酔いつぶれて……」




と説明してくれた。


説明を終える前に小首をかしげながらは封を切る。


取り出した一枚の手紙にさらりと目を通した。




「“  おたくのマリア。 ヨメさんにするから、 さらいに行くぜ。


                さすらいのギャンブラー  ”」


「誰なんだ?このさすらいのなんとかは?」




ひょ、と彼女の手の中のものを上から盗み取って


ロックは手紙の文字を見ながら言う。


すこしむっとしただったが、


セリスが「まぁまぁ」と宥めたのですぐに落ち着いた。




「知らないのかい?」




正義や悪……そんなものとは関係のない世界に生き


ギャンブル場の入った飛空挺ブラックジャック号で世界をかける男…




「世界に一台しかない飛空挺を持っているセッツァーさ」




―――飛空挺。




「飛空挺があれば空から帝国に乗り込める」


「!」




セリスの一言にはめを輝かせた。


今まで帝国まで出してくれる船を当たっていたのだが、


ことごとく全ての船の所有者から首を横に振られたばかりなのだ。


この戦戦の時期にわざわざ帝国に船を出そうとする奴はいなかった。


まぁ、無理もないといえば仕方ない…




「会いに行こうか……セッツァーに。」




道はできた。









全員顔を見合わせて頷いた。














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あとがき

47話になりました。

まだまだ連載は続きますね
(まだ半分さえきてない)
絶対100話は超えるだろうな…

まぁマイペースにやってこうと思います。

今回はそんなにそれなかったんじゃない?
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