Angel's smile
















みなさんこんにちわ、タコでごめんね――…















 弾かれた偽り 52














壁にもたれ掛って盛大にため息をつく。


軽い頭痛を覚える額を押さえるロック。




「(全く…)」




しぶしぶといった雰囲気でロックは歩き出した。


その表情は思いつめた感じだった。


そんなロックの足元でくしゃりと明らかに絨毯ではない


音が聞こえて足元を見下ろした。


それは一枚の手紙だった。




「 お前ら気にくわんからオペラ邪魔してやるけんね。オルトロス 」




内容をさっと読みその字の汚さに唖然した。


違う。


手紙の内容にだ。




「まずいぞ!」




とにかくダンチョーに伝えないと。


ロックは一目散に走り出した。









 +









「何ですと!!


 しかしそいつはどんな恐ろしい方法で芝居を邪魔しようと?」




手紙を見終わった後、ダンチョーはがたがたと


手を震わしながら舞台へと視線をやった。


舞台はちょうど舞踏会が行われていて


もう少しすれば再びマリアとドラクゥが再会するという


この舞台のクライマックスになる。


いわば一番大事なところでもある。


マッシュが舞台の上……


ライトなどが置かれている天井を指差した。




『ふっしっしっ。マリアの頭にオモリ落としたるけんね。


 んが〜!予定より重い! こりゃ落とすまで5分かかるゥ!』




「せこいまねを!」




ち、とロックが舌を打った。


このままではマリア…もといセリスの頭上に錘が投下してしまう。


なんとしてもそれは阻止しなければいけない。


三人は考えるよりも先に足を走らせていた。




「右の部屋のウラカタさんに声かけてみなさい。舞台上に行けますよ」


「まかせろ!」




背中に聞こえたダンチョーの声にロックがこたえた。


客席の合間の通路を走りぬける三人。


やがて細い通路になり、階段を駆け上がる。


すると一人の男性が驚いた風にしていた。


彼等の表情からその緊急さに裏方さんまでも表情をこわばらせる。




「一番の右の通路からいけますよ」




そういわれて再び走る。


天井には何十匹もの鼠が這いずっていた。


いるだけならともかくそのネズミ達は獣化していて


ロックたちを見るなり行き成り襲い掛かってきた。




「くそ、」




オルトロスの姿はずっと前から見えている。


牙をむき出しにして来る鼠たちは尋常な数ではない。




… 鳳凰の舞 …




マッシュが攻撃を仕掛けた。


その合間にもロックは両手持ちのナイフ、


エドガーは回転のこぎりでなぎ払っていった。




「えーい、ちくしょー」




オルトロスは助走をつけると鼠を駆除し終え


自分のほうに向かってくるロックたちに行き成りタックルしてきた。


どうやらオモリをおとすのはこの際諦めたようだ。


…血迷ったのか?


そう脳裏の片隅で思慮したのが最後で




「「「ちょ、うわぁぁぁあああああああああ!!?」」」




三人+一匹はクライマックスを迎えつつある舞台の上へと放り出されてしまった。









 +









鈍い音がした。


それも舞台のほうから。


暫くの静寂を感じは舞台袖から舞台を覗き込んだ。


着替えはとうの昔に終わっている。


丁度いまから客席のほうに行こうとしているときだった。




『ああ いかん!! あの二人がのびてしまったら話が続かない!


 一体誰の妃になったらいいんだい?』




ダンチョーの悲痛な叫び。


肝心なドラクゥとラルス役の役者は頭上からの


刺客のせいで伸びてしまったらしい。


その周りにちらほら見える見知った人物。


ロック、エドガー、マッシュを見て


露骨に嫌な顔をして見せた。


額を押さえて唖然とする。


舞台の中央に立っているマリア…セリスも


顔には出してはいないが表情が引きつっているようにも見える。


意識を取り戻したロックが現状をしりはっとなる。




「セリスをめとるのはドラクゥでもラルスでもない!!


 世界一の冒険家! このロックさまだァァ〜!」




拍手喝采。


客の中からは口笛を飛ばした奴もいた。


しかめっ面の


…セリスっていっちゃ、駄目だろ…!!!




「あちゃ〜へたクソな演技しおってからにィ!」


「(もっと言ってやれ…っ!)」


「だまァ〜れェ〜われとてタコのはしくれ!


 お前なんかに負けはしないぞ!! お前としょーぶだ!!」




あ、タコだ。


紫色の奇妙なタコが奇妙な口調で奇妙に言った。


触手をにょきにょきとして威嚇している。


はぁ、とがため息をついて杖を手にした。


どうやら戦闘はやむ終えないらしい。


ダンチョーも腹をくくったようだ。




「ええい。もうどうにでもなれだ!」









ミュージックスタート!!!














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あとがき

52話になりますね。

ようやくタコ初登場だわ。
オルトロスってFF6名物だよなー…
あの憎めない可愛らしさはぐっときますなw

次にちょちょいと戦闘が入ります
無理そうなら適当に終わらせます(笑
セッツァーまであと少し!!b
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