Angel's smile

血の描写がございます。

ご注意くださいまし。














髪間から水晶の光が漏れた――…















 欠陥者の抗い 61














ぺろりと唇をぬぐう。


ゆっくりとそれを味わって見せ付ける。


そして剣先が真っ赤に染まったソードをくるりと回して


それらをコンクリートに打ち付けた。


コンクリートに散る血。


花弁のように鮮明だった。


セリスが奥歯をかみ締めてソードの塚を握り締める。


次の瞬間との距離をぐっと縮めていた。




「よくも…さんをっ!!」


「まずはアンタからぁ?」




ふふ。


は楽しそうに笑って攻撃を受けてかわした。




「全員で来たほうがいいんじゃないの?」




余裕気には言った。









 +









血溜りの中で覚醒した。


目は完全に醒めているはずなのに


何故か這い上がれそうになかった。


視界がおぼつかない。


何度瞬きをしてもクリアになることはない。


それどころか少し気を緩めたら本当に“飛んで”しまいそうだから怖い。




「………、そ」




くそ。


呟いた悪態が不完全に消える。


それでも足掻いた。


腕を懸命に這わせて母へと伸ばす。


先ほど受けた攻撃の時に切れてしまったそれ。


必死に生き延びようともがいた。




「     」




早く、止めないと。




指先の冷たさ。


触れた刹那に淡く灯る。


は声を押し殺しながら何事かを呟いた。









 +









左手一本でセリスと渡り合っている。


そして力をこめてなぎ払えばセリスが眉をひそめながら弾かれる。


右手にぽう、と光が宿った。




「暗雲に迷える光よ、我に集いその力解き放て!」




… サンダラ …




上へとかざした。


強く光を発する球体。


時折弾かれたように激しい音を出す。


は舌で唇をなめる。




「 ばいばーい 」




その言葉に反応して球体がさらに大きくなる。


の使うものよりもさらに激しい。


触れればただではすまない。


ロックはさっき切られたわき腹を押さえながら


懸命に吹き飛ばされた剣に手を伸ばすセリスを呼びかけた。


剣を持たないことには魔封剣が使えない。


指先すら触れることはない。


奥歯をかみ締めくそ、とセリスは声を上げた。


球体がセリスへと向けられる。









その時目の前に人影が下りた。









光があふれた。




同時に鼻を掠める血のにおい。




止まりきっていないのかぽたぽたと床を少しだけ潤わせる。




セリスは何とか起き上がりながら目を見開いた。














…さん……?」














覗いた表情がふわりと笑んだ。


杖の先端部分がサンダラに向けられる。


そしてそれはいとも簡単に吸収された。


は軽くした打った。


今までの笑顔が嘘のようにして消える。


それから皮肉気味にいった。




「死に底ないが」


「………」




キ、とは兄をにらむ。


膝を突いて腹部を懸命に抑えている。


押さえているほうの掌からは治癒の光がともっていた。


まだ傷はふさがってないようだ。


肩で息をする


ふらふらとしていて立ち上がるのやっとのことだった。




…!」


「なんて顔…してるんだ、よ。ロック」


「もう喋るな。傷口が――」




ゆっくりと首を振る。




「何か喋ってないとさ、飛んで行きそうなんだよね…意識」




今飛ぶわけには行かない。


そう言っては自嘲の笑みを浮かべた。




「今助けてあげるからね、兄さん…」










その言葉にその場の全員が凍りついた。














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あとがき

61話です。

あ、ラファエルはテレポできたんです。テレポで!
あれって結構便利だけど何処でもいけるルーラとかとは違いますよね
(↑そりゃDQだ)

パターンが。。
って最近思い始めています。
マンネリ化?みたいなorz
毎回おんなじ感じだよなってのはわかってるんですが
また書いてしまってたりします(・ω・` )
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