Angel's smile
















大丈夫でしたか?――…















 埋らない溝渠 65














黄色のフードつき研究着を来てシド博士は奥から出てきた。


どうやら多くの幻獣が魔石かする際に異変に気がついたようだった。


形相を変えてひとつひとつカプセルを確認している。


手すりをぐっと握って何事かの結論を出していた。


は複雑そうに眉をひそめる。




「幻獣は死ぬときに力だけを残すことができるのか…


 この石に秘められている力は幻獣から直接取り出した力の何倍…


 いや何百倍もある…ふーむ…」


「………シド」


「―――」




が低く唸るような声で名を呼んだ。


するとシドは目を大きく見開いてを見て、固まった。


それから傍に散らかる粉々に粉砕された水晶と見比べて


全てを悟ったように唇を固く結んでいた。




「アンタ。楽において死ねると思うなよ?」


「このわしを殺すというのか…それも仕方はあるまい」


「いい度胸だな老いぼれが。だが、死んで償えると思うな」




の言葉一つ一つに氷の刃のような鋭さを感じる。


出会ったばかりの冷たさを思い出し、ロックは生唾を飲んだ。


今回ばかりは止められそうにない。


そう実感していた。


は立ち上がろうとした矢先に眩暈でふらつき、


咄嗟にマッシュに支えられる。


どうやら血を抜きすぎたようだ。


すこし動いただけでも視界が揺れる。


マッシュは渋い顔をしながらを再び座らせた。


すでにの意識は朦朧としたものだった。






セリスは何となく事情を察し「シド博士」と名前を読ぶ。


はっとシドはセリスを見据える。




「セリス将軍!なんじゃ、このあやしいやつらは?お前さんの部下かい?」


「いいえ。そうじゃなくて私は……」




「何でも反乱を企てておる連中に、スパイとして潜り込んだと聞いたが…?」




「!?セリス……?」




シドの言葉を聴いて一番の反応したのはロックだった。


裏切られた時のような衝撃的な表情をしていた。


被さるように耳障りな笑い声が聞こえてくる。


研究所に響いてその姿を時期にあらわにした。




「なるほど!!魔石か!!でかしたぞシド博士!!


 そして……セリス将軍!!さあ、もう芝居はよい。


 そいつらの魔石を持ってこっちへ来い」




ケフカがニヤリと卑屈に微笑みながら言う。


セリスは思わず息を呑んで眉を潜める。




「セリス!騙していたのか?」


「違うわ!私を信じて!」


「ヒッヒッヒッ!裏切り者か…セリスにぴったりだね……」




マッシュに完全に凭れ掛り目さえも閉ざしてしまった


ちらりと盗み見てケフカは言った。


セリスは懸命に首を横に振る。


けれども必死な訴えが届くことはない。


俺には……


ロックが目をそらしてしまう。


セリスは頭を抱えるようにしながら俯いた。









「今だ!!皆殺しにしろ!!!」









ケフカの声を合図に魔導アーマーが攻め込んでくる。


次の瞬間セリス一人を残してその場に立っているものはいなかった。


振り返ったセリスが目を閉じて握りこぶしを作った。


すっと開いた深い青色の瞳からは何か決心のようなものが伝わってきた。


ゆっくりと中央まで歩いていって小さく息を吸い込む。




「ロック…今度は私があなたを守る番…そして…これで私を信じて…」




膨大な魔力がセリスに集う。


無数の光が覆っていく。


ケフカの表情から笑みが消え去る。




一瞬で全ての光が飲み込まれた。


刹那、ケフカ、魔導アーマー…


そして、セリスの姿は見えなくなっていた。




「(セリス……)」









 +









ぽう、と光がたまっている。


魔法の光だ。


とても暖かい印象を受ける。


視界を徐々に広げていく。




…かい?」




すると相手は慣れたように目を細めて苦笑していた。


そこでやっと、彼がだということがわかった。


すまない、と謝罪するとは静かに首を振った。


ふぅ、といきを吐くとは呪文を詠唱する。




… ストップ …




崩壊しかけていたもの、動いていたもの全ての動きが止まった。


は「魔法が解けてしまうので触らないでくださいね」と


丁寧に釘を刺しておいてから


ロック、エドガー、マッシュそしての4人を順に見ていった。









「皆さん、お怪我ありませんでしたか…?」












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あとがき

65ですね

もう少しなんだけどなかなか終わりませんね。
こんなに引っ張るのはナルシェ以来かな。
どうだろう。。

兄様敬語キャラでした。
てか世間を知らない分謙遜しちゃってるんですよ、
多分。

これから兄様少しだけ活躍させよう。
てかもうつぎで脱出か???
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