Angel's smile
ここずっと、眠りが浅い――…
愛するというコト 78
船を進ませるエンジンの音だけが静かに鳴っていた。
ほどよい静まりの中仲間たちの寝息をそっとかき消してくれる。
そんな薄い暗闇の中。
彼らの寝顔を見てホッとする。
安らぐ。
同時に、知らない感情が胸を埋め尽くす。
丸くて軽い、ボールのような感情。
「……」
ティナは静かにベッドを抜け出した。
は薄く眼を開いた。
+
『感情がもどってきたそうだな…』
扉越しの甲板から聞こえる声。
レオ将軍のものだった。
は静かに扉の前まで忍び寄ってそっと扉にてを触れた。
けれど、あける事はしなかった。
『……不思議なものね。帝国に利用され、思考までをもコントロールされていた私が、
こうしてまた帝国の人間とともに行動しているなんて』
『帝国の人間とて、同じ人間。全てがケフカのようなヤツばかりではない』
決して自分がきいていていい話ではない。
それはにもわかる。
眠っていればよかったな。
先日もそうだった。
最近はずっと眠りが浅い。
すぐしたことで目が覚めてしまう。
『あなたは………どうなの?』
『お前たちが幻獣とのハーフであり魔導の実験台として苦しめられているのを知りながら…
それを止められなかった俺も、ケフカと同罪さ…』
『幻獣と人間が愛し合えるのなら…その子である私と人間とは…愛し合えるのかしら?』
は沈黙を深める。
少しだけ目を伏せた。
『もちろんだとも』
すぐにレオが返した。
双方に沈黙が流れる。
はほう、とこっそりため息をついた。
彼のことが一番に頭に浮かぶ。
あぁ、確信犯。
『でも…私はまだ愛という感情を知らない』
『お前はまだ若い。……いずれわかるようになる。きっと……』
『でも……私は、今知りたい……』
レオが自分の寝室へと戻る。
ティナが一人甲板に残りため息をついた。
カサ。
肘に触れた紙が小さな音を立てた。
がはっとなる。
『誰……?』
意を決して足を踏み入れようとしたとき何者かのてに腕をつかまれとめられた。
振り返った底にいたのは影。
…シャドウだった。
シャドウは寝ていろ。と低い声で言い放ち、
の変わりにティナの元へと現れた。
追いかけようとしたがシャドウにひとにらみされて、
は仕方なくベッドへと戻っていったのだ。
「星を見ながらねようと思ってな」
「今の話……聞いていたの?」
甲板での話は続く。
シャドウは手すりに肘を置き答える。
そして聞くつもりはなかった。と言及した。
「あの……」
「俺は、何も教えてやれん。答えは自分で見つけるものだ。ティナ。
世の中には、自ら感情をすてて生きようとする人間もいるのだ。それを、忘れるな」
ティナは沈みながらも頷いて寝室へとゆっくりと歩いた。
シャドウが遠い、暗闇に覆われたまだ見えもしない島へと視線をあてていた。
複雑な心情だった。
それを、シャドウは簡単に切り離した。
そんな時だった。
「う う う…ぐ、ぐるぢひ〜げろげろ〜」
「………」
シャドウは何もいわずに戻った。
甲板にへたり込みながらロックが悶える。
「なんてこったい…世界一のトレジャーハンターともあろうものが…」
激しい揺れに再び気分が悪くなったロックは一晩中苦しんでいたそうな。
+
早朝。
船は三角島の南につけられた。
船着場でレオが指揮を取る。
「二手に別れよう。私とセリスが組むから、君はロックとシャドウと組んでくれ。
幻獣の手がかりを見つける事ができたなら、すぐ報告をするように」
そしてティナに昨日の話は再開した時に、と耳打ちした。
その耳打ちが気に食わなかったのかは渋い顔をしたが
レオはそれを苦笑しながら返した。
「俺たちも行くか。シャドウ!」
シャドウは黙ってロックたちと合流する。
「あ、ロック…あの、私……」
「……いくぞ」
「………」
セリスの言葉を軽く促してロックは歩き去ってしまう。
ぎこちない空気だった。
は暗黙したが、通り過ぎる間に「またね」と言う事を忘れない。
ティナは最後まで留まっていたが、すぐに4人と合流した。
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あとがき
78話目です!w
今回でサブタイトルは終了です。
次回はまともな奴にしようかな。
サマサ編…ってことでさー
↑まだかんがえてないですが
あー。ぼちぼち崩壊前が終わってしまいますね
早く三闘神とかかきたいな。
魔封師がどういうふうに関係しているのかももう少し介添えしたいし。
さて、思うとおりにいくでしょうか。
ということで
ぽちり
(殴)