Angel's smile
















もしかしたらここって――…















 魔導師たちの村 79














「わしになんの用ゾイ?」




到着地から少し北に歩いた場所にある村。


その名もサマサの村。


帝国の支配に及ばないこの村は長閑で、平和そのものだった。


その村の北部。


家の住民に幻獣について知っているか聞いてみようとの話になった。




「幻獣? 幻獣… んー 久しく聞かなかった言葉じゃゾイ」


「知ってるんですか?」


「いや、知らぬ。知らん 知らん…わしゃ な〜んも 知らんゾイ」




あからさまに目をそらす。


その視線はいく当てもなくさまよっている。


がむっとするのと全員が怪しんだのは同時だった。


彼…ストラゴスが視線を戻す。


そしてふと、目を見張った。




かの?おぬし生きておったのか!」


(父さんと…勘違いしてる?)


「何か勘違いを…。確かに僕たちの姓はですが、貴方との面識が……」


「……そうじゃったの。すまんゾイ、わしが奴を見たのも20年以上も前の話じゃったわい


 こんなに若いはずはないのう……」


「いえ、お構いなく…」




きちんと対応しているのはのほうだった。


といえば彼らの後ろから探るような視線でストラゴスを見つめている。


勘ぐっているようだった。


その後ストラゴスはぼそり、と


(三闘神を見に行くといって、それっきりじゃからのう)


と誰にも聞こえない声で言った。


はニヤリとするのをてで隠した。




「おじーちゃーん!!」




奥の扉から小さな女の子が出てきた。


女の子はストラゴスと5人を見比べてぽかぽかと殴った。


あた、あた、とちいさなストラゴスのうめき声が聞こえた。




「おじいちゃん。誰、そこの人?新しいお客さん?この人も魔法をつかう人なの?」


「……(へぇ)」


「あわわっ こら!」




これには流石に鈍いといわれているも気がついたようだった。


ちらりとをみて、それは決定事項となる。


そして少女…リルムはシャドウの連れている犬に歩み寄った。


噛み付かれるぞ、という忠告も聞かずにリルムはイヌとじゃれる。


余計な詮索をされまいとしたのかストラゴスは奥にいなさいとリルムをしかった。


リルムは一度膨れたが素直に奥の部屋へと戻って言った。


シャドウのイヌと一緒に。




「まったく、もう…すまんゾイ」


「かまわん。人にはなつかない犬なのに…」


「すまんがきっと力にはなれんぞ」


「そ、そうですか…」


「ここは、どこにでもあるいなかの村に過ぎぬ。幻獣などといった話とは、ま〜ったく関係ないのじゃ」




あくまで白を切るストラゴス。


きっとこの村の誰に聞いた所で同じ返答をするのだろう。


この村には何かある、とロック。


暫くこの村で様子を見ましょう、とティナ。




「では、私たちはこれで…」


「なんの役にもたてんで、すまんかったの」




シャドウがインターセプターと犬の名前を呼ぶ。


一度返事の意味をこめて犬はほえてから奥から出てきた。


リルムが「また遊ぼうね」と手を振った。


は一度ストラゴスをちら見してからロックの後を続いて家を出た。









 +









「どんな感じだった?」




ロックが探りの意味もこめてに問う。


は瞬時に質問の意図を読み答える。




「二人とも、やっぱり何か力を持ってたね。僕たちのものより少しセリスの方に似てる気がする。


 リルムのほうが、少し強かったかな」


「やっぱりこの村は何かを隠してるな」


「…まぁ、なんにせよ。僕はもう少しこの村に留まりたいな。


 なんだかこの村、すごく懐かしい感じがする。…さっきの事もあるし…


 もしかしたら――…」




父さんの故郷かもしれない。




「だと、いいな」


「…うん」




ゆっくり休めよ。


そういって彼は自分のベッドへと戻った。


もベッドに腰を下ろしほう、と息を吐く。


帽子をはずしそっと十字架の刺繍をなでる。


たくさんの想いがそれには詰まっているようだった。




暫くしてそろそろ眠ろうかと思った頃、


たちの部屋の扉を誰かが強い力でたたく。


扉を開けてやると興奮気味のストラゴスが慌てていった。




「大変じゃ!リルムが!」


「リルムちゃんが?」




隣からティナが顔を覗かせる。




「そうなんじゃ!リルムが火事になって、近所の家がまきこまれて…


 あややや……、何が何だかわからなくなってきたゾイ!とにかく!手をかしてくれんか!」




ティナ、の三人はすぐさま宿を飛び出した。


ロックはまずシャドウに声をかけた。


あまりに無反応だったのでロックも後を追い家を出る。


一人になった宿で、シャドウが呟いた。









「インターセプター…どこだ!?」














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あとがき

79話目です!w

サブタイトル「魔導師たちの村」…そのままですね
幻獣の洞窟のあたりまでいけたらいいな、と思います。
もう次で救出編が終わる勢いで←

短編でもいくつか書きましたが
この村はコーリンの故郷でもあります。
魔導師を育んだ村。
実際何人かの老いた住民←
は双子の存在に疑問を覚えています。

ということでぽちり (殴)
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