Angel's smile
















護――…















 魔導師たちの村 80














リルムがあの中にいる。




慌てた様子で彼が指差したのは炎上する屋敷だった。


だいぶ時間がたっているらしく木造の屋敷は徐々に脆くなり、崩れ始め


あらゆる隙間からは黒い煙が立ち上っている。


は目を見張り眉根を近づけながらも思考を錯誤していた。




「それは…!?」




の隣でストラゴスが詠唱を始める。


呪文を唱えている。


魔法を使う気だ。


そんなストラゴスを村長が止めた。


魔法は禁じたはずだ、と声を荒げたのだ。




(魔法…!?)


「そんな事……!!リルムが中にいるのじゃゾイ!」




そんな合間にも屋敷は崩れる。


時間は迫っていた。


ストラゴスは「村長!」と強く問いかけた。




「うむむ…いたしかたあるまい。はなれていなされ」




二人を含めた村の住民らも手を貸しあい魔法を唱える。


光が集まり家に降り注いだが、炎に勢いは止まることはなかった。




「だめじゃ火の勢いが強すぎるゾイ!」


「この家には、ほのおのロッドがつんであったから…」


「わしが行くゾイ!」


「待って、私も行くわ」


「「僕たちも」」


「そうだぜ、じいさん。みずくさいじゃないか」




ロックがじいさんといったので、ストラゴスは、


じいさんと言われるほど老いてはいないとすぐに訂正を入れた。


双子は目を見合い兄は剣を、妹は杖を握り締めた。




「急ごう!」




ストラゴスを先頭に5人は火の海へと飛び込んだ。




一歩足を踏み入れただけでじりじりと肌を焦がそうとする熱気に眩暈がする。


煙が漂い、少し大きく動いただけで日よりも先に煙にやられそうだった。


その事を察して近距離タイプのはソードをおさめ、


魔法のみに絞ったようだった。


時折獣かした炎が襲い掛かってくる。


ティナとはブリザドを唱え、それらを退けていった。




「火のまわりが早いな」


「今にもくずれてきそう…」


「はやくリルムを見つけないと!」




あごの汗を拭って揺らめく蒸気の先に意識を集中した。


こっちだ。


リルムの魔力を僅かながらも感じ取り、は杖で道を示した。


ロックとストラゴスが扉をこじ開ける。




「火を放ったのはこいつか!?」




一番奥の扉の中央に構えるフレイムイーター。


巨大な炎系のモンスターだった。


モンスターはすぐにバルーンを放ち更なる火力を生み出そうとする。


ストラゴスはすぐに呪文を詠唱した。




… アクアブレス …




ブクブクと膨らみあがる水・そして風。


それはすぐさまバルーンをかき消した。


は右手を頭上へと上げて魔法を繰り出す。


その合間にロックは遠距離用の武器を構える。




「虚空の風よ、非情の手をもって人の業を裁かん!」




… ブリザラ …




氷結。


後のロックの攻撃での粉砕。


フレイムイーターは氷のくずとなって解けていった。


とロックが手の甲を軽く叩きあう。


ストラゴスはそんな合間にも孫を必死に探していた。




「リルムは!リルムはどこじゃ〜っ!!」


「みつけた!気を失ってる…!」


「リルムー!!」




ワン。


インターセプターがリルムを庇うように炎のモンスターを威嚇していた。


リルムは煙にやられているのか気を失ったままだ。


ゴゴゴゴゴ。


屋敷が崩壊する。


遅かったか!


ロックが叫んだ。


護らなきゃ。


はただそれだけを祈っていた。









 +









隙間をくぐってシャドウが屋敷に入り込む。


そしてインターセプターに迫りつつあるモンスターをみて


瞬時に状況を理解してクナイで一気に片付けた。


そしていままでインターセプターが守り続けていたものを見て僅かに沈黙する。


ほう。


光の壁があった。


が杖に寄りかかるようにしゃがんでいる。


に意識はなく皆を守っている光の壁は杖からのものだった。


シャドウはに手を伸ばす。


光の壁に触れて壁は解けるように消えたがシャドウの手は止まらなかった。


魔法が解けたようにが崩れ落ちた。


それを難なく抱きとめる。


一度。


微かにの頭をなでていた。




「脱出するぞ」









煙玉が叩きつけられ全員は家の外へとはじき出された。














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あとがき

80話ですねーははは

幻獣の洞窟がある辺りまで進みます
てか進めます。
(´・ω・`)
そんでケフカとのイベントぐらいで変えたいな。
サブタイトル。…そんな感じです。

シャドウさんはひっそり優しい感じです。
見せない具合の優しさがきゅん死に大賞ですよね?w
↑意味不

ということでぽちり (殴)
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