Angel's smile
















お〜、ひかってる ひかってる。すん ばらしい〜――…















 魔導士たちの村 83














「てめえ、オルトロス!二度ならず三度までも!」




すっかり金像に見惚れているタコにロックがヤケ気味に言い放つ。


オルトロスは切れ長の気持ち悪い瞳でロックを睨み返し


「これが本当の三度目の正直だよーん」


と何時もながらのノリでそれを返した。




「また出ちゃった、しつこい?だって、タコだもん」


「………」


「いま、むかつくタコ野郎と思わなかった?ごめんね、ごめんね」


「………」




殺。


がむっとなる。


イコール図星。


間を要れずにファイラを唱えた


タコはたこ焼きになりかけた足をふぅふぅとふいてひるんだ。




「駄目だよ……外しちゃあ」


「おい、お前もそれなんか違うから(キャラが…)」


「ファ、ファイ――」


「いや、ティナもやろうとしなくていいし。じいさんも唱えんな!


 ――あぁ!もう!突っ込みがまにあわねぇ!!」




本来ツッコミのはずのがボケるものだから


ロックは少し戸惑った。


はぁ。とため息をつくと対峙する。


7本の足(一本はおいしく頂きました)をにょきにょきさせて


オルトロスはすこし怯んだ。


この人数を相手に分が悪いとでも思ったのだろうか。


けれどももっとオルトロスを追い詰める事態が起こった。




「おじいちゃん!」




オルトロスを真上から踏み潰して(つぶれる音がしたようなしてないような…)


リルムはジャン、という効果音と共に参上した。


来ちゃった(テヘ)とかわいらしくいったリルムに


ストラゴスは「家にいろと言ったじゃろ!」と一度しかったがリルムに聞く耳はなかった。




「お絵かきなら、なんでもこいのリルム様、初登場!ねえねえ、あんただあれ?」


「だあれとは、失礼な!このオルトロス様に向かって!!」


「リルム様に、オルトロス様なんだか、わけが分らなくなってきたなあ……?」




いや、同意を求められても。


心中突っ込んだにティナは苦笑するばかりだった。




「ねえねえ、オルちゃん、似顔絵かいてあげようか?」


「オ、オルちゃん!失礼な!このオルトロス様に向かって!!似顔絵なんぞ、いらんわい!」


「(ねぇロックこいつ二回同じ事いってるよ?動揺しまくりだよ?描いて欲しいんだよきっと)」




照れてるよ、可愛いね。


と容赦なくいうものだからロックでさえも頷くのが精一杯だった。


コテンパンに言われたリルムといえばえーん、えーんと泣きまねを始めて


かいてあげないんだもーん、とぐずった。




「いいんだもん……リルムここから……飛びおりてやるんだもん」


「だめよ!!そんなことしちゃだめ!!!」


「ひそひそ……」




崖ッふちに座り込んだリルムを慌ててティナが止める。


その表情は真剣そのもの。


そんなティナにリルムはきゅ、とそばにより耳元で何事かを呟いた。


ティナの動きが止まる。


そしてティナの視線はオルトロスで止まった。




「どーすんの?、こんな小さい子、いじめちゃって!何かあったら許さないわよ!!」




腰に手を当てて怒るティナの様子にオルトロスはしどろもどろした。


じゃあどうすりゃーいいのよ。


とおどおどするタコにロックは「描いてもらえよ、」と助言する。




「…………


 …………


 …………


 …………


 …………


 …………


 …………


 …………


 オルちゃん


 似顔絵


 かいてもらっちゃうもんねー!」


「えへへわたしの得意技にまかせていてよ!」




よくもまぁ決断したものだ。


そんなさめた視線にさえ気付かずにオルトロスはすこし照れた風な様子で


リルムにスケッチされるのをじっと待っていた。


リルムの握った絵筆が空中を滑っていく。


まるで自由に躍らせているだけにも見えるそれはみるみるうちに完成へと近づいていった。




… スケッチ …




スケッチされたオルトロスが本物のオルトロスにタコアシを食らわす




「そんな…それじゃまるで……まるっきりタコじゃん!」




じゃぽん、と地中に沈む。


あまりのあっけなさに拍子抜けしそうだった。


それくらい、あっさりと勝利した。




「ね?見てくれた?リルムも立派に戦えるよ。ジジイよりは役立つんじゃない?」


「ジ、ジジイ!?」


「つれてってもいいんじゃない?」


「わかったわかった。しょうがないやつじゃ」


「やったー」




両手を挙げてリルムは満面の笑みを浮かべる。


ティナを含めてはしゃぐ彼女にいちどストラゴスに制されたが


やっぱり華麗に無視してうれしそうにしていた。


そんな無邪気なリルムに微かな温度差を覚えつつも


金の像の言葉をもう一度目を通した。




「なにやってんの?おいってっちゃうよ?」


「あ、ごめん」




自分の半分の年齢のはずなのに。


しっかりしてるな…。


苦笑するに全員が笑った。









我にその鼓動を聞かせたまえ。そんな言葉が、よぎった。














←Back Next→

あとがき

83話目ですゎ。

ここで一度きります。
長めの文を2章にしようと思いましたが
もうすぐ崩壊前も終わるし余裕を持とうかなって
(↑ぼちぼちオリ要素も入れるしね)

さてさて、どんな結末に進むのかな。
あ、とにかくサブタイトルは次から変わります。
魔大陸にいく前くらいまで。
んでその次の章で、ってかんじにbb

ということでぽちり (殴)
inserted by FC2 system