Angel's smile
















サァ オワリ ノ ハジマリ――…















 崩壊の余興 88















封魔壁の前。


地に足をつけてトランスを解くとは息を吐いた。


幻獣化させて自分の翼でこの場所まで飛んできた彼女。


もう一度息を吐いて呼吸を整えると門の前で待っていた二人に視線をくれてやる。




「きっと、来てくれると思ってましたよ」


「さぁ、。この扉を開けるのだ」


「………」




ケフカ。


そしてガストラ皇帝。


はあえて何も言わずに二人の隣を横切った。


この門を開けてしまえばもう後戻りは出来ない。


躊躇っているのか、少しだけ手が震えた。




(大丈夫。僕に戻る場所なんて、ないんだから)









 +









「レオ将軍……」




同じ頃。


レオ将軍の墓の前にティナが花束をそえた。


指を重ねて冥福する。




「人はみな力が欲しいのね…私達みたいになりたいのかしら…」




目を閉じたティナ。


その隣にしゃがみこんで共に指を重ねたのはだった。


墓石のネームから目をそらすことのない彼。


さまざまな感情、誓いを内心吐露しているようにも見えた。


短い短髪がゆれる。




「どうした、インターセプター!そのケガは!?」




マッシュが言った。


マッシュの言葉の先には傷つき、足を引きずりながらそばによってくる


インターセプターがいた。


シャドウと共にいたはず。


ロックが帝国め…と吐いた。


そしてインターセプターの足をすばやく治癒してやる。




「やさしいのね」


「…アイツなら、って」




考えていたら動いていた。


セリスはロックの言葉に目を伏せた。


騒動を経た後。


彼女の姿は見当たらなかった。


彼女を止められなかった事を悔いながらも、


ロックは彼女が肌身離さずつけていた魔石をそっと握り締めた。


あいつもこんな気持ちだったのかな。


なんだか魔石から暖かい者が伝わってくるようだった。


そんな彼らも元に仲間達が近づいてくる。




「帝国が裏切った。あやうく罠にはめられるとこだった」


「事前に脱出できもうした。エドガー殿の情報のおかげでござる」


「さすが一国の王」




事情を聞いてロックがエドガーを見てにやりとする。


エドガーはすました様子で


お茶を運んで来てくれたレディにごあいさつしたらていねいに教えてくれたよ。


と言い放った。


思わずロックが「便利な特技だな、」とぼやく。


セッツァーがはっとなる。




はどこだ…?」


は……」


「ケフカと共に魔封壁へと向いました」


「!」


「何!?」




凛。


が言い放つ。


事情を知らない仲間達は一同驚きを隠せない。




「恐らく、三闘神を復活させるために――」


「どうして行かせたでござるか!」


「………」


「おい、やめろってカイエン」


「大切な双子の妹でござろう!何故行かせた!」




カイエンは激怒する。


は少し目を伏せて歯を食いしばった。


言い返す言葉が見つからない。


カイエンの言っていることは事実だ。


ぐ、と目を閉じた時ティナが不安そうな表情での腕に触れた。




「お願い……もう自分を責めないで」


「??」


「血が出てる……」




ティナがいった言葉の先。


の左腕。


右手のつめが食い込み3箇所ほどの小さな傷口から血が染み込んできた。


あ、とが呟く。


無意識。


は自嘲の笑みを浮かべて治癒しようとしたティナを止めた。


時期に治る。


魔法は必要ないよ。




「まだ、時間は残ってる」


「そうだな……」


「とにかく作戦のたて直しだ。飛空挺にもどろう」




全員を見据えて言った


ロックとエドガーが頷いて話を引きつぐ。


ストラゴスがおずおずと顔を出して「わしもいってもいいかの?」と言う。


ロックが全員に紹介した。




「この村の人だ」


「魔導士の血を引く人なの。力になってくれるわ」


「力の使いかたをあやまった帝国をほうっておくわけにはゆかんしの」


「リルムも!」


「ダメじゃ」




即答されてリルムは膨れる。


「子供は足手まといだしな」とニヤニヤしながら言ったマッシュ。


リルムはむ、としながら負けじと言いかえす。




「なにをー!このキンニク男!」


「くーっ似顔絵かくぞ!」


「わーー!やめ!ヤメ!」




慌てて止めたのはロックとティナとストラゴスの三人。


幻獣の聖地での事を思い出し三人は慌てていた。


に関してはそれをただ楽しんでいた。


ほう、と息を吐く。


かすかな温度差を感じた。


今まで自分がいた世界とこの仲間たちと共に共有する世界。


断然こちらのほうがいいに決まってる。


それなのに妹は幻獣界へと向かった。


この世界を捨てて。


たった一人で。




(………嫌な胸騒ぎだな)




ざわめくもの。


予感が当たらないといいけど。









は妹を想いもう一度ため息をついた。














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あとがき

88話でございます。

シリアスの後のほのぼのはやっぱ変な感じがするです。
だけどやっぱ落ちたままじゃ嫌だし
進んでもらわないとなので少し最後のほうは明るめを意識しました。

前の会で言い忘れていたのですが。
ナルシェでオオカミから丁重に頂いた(正確には拾った)金の髪飾りは
ロックはその後ヒロインに渡しています。

魔法を多用するようになった彼女を心配してか、
それとも……?

ということでぽちり (殴)
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