Angel's smile
















アァ


ヤダナ


コノ ザンキョウ


ヒメイ


サケビ


ウッタエテクル


コエ




――アァ


ボクヲ


コロストイウノ?――…















 崩壊の余興 91














――ヨクモ




頭に容赦なく声が叩き込まれる。


言葉が詰め込まれる。


張り裂けそうになる。




――ヨクモ ワレラヲ




息が苦しい。


悪寒。


いやだ。


いやだ。


じわじわと蝕んでいく。


視界が急に暗くなった。


それは……




――ヨクモ ワレラヲ オコシタナ――




神の逆鱗に触れた罰。









 +









「――――――」




ケフカとガストラは目を見開いた。


ケフカに関しては目の前で起こっている悲劇を興奮した様子でただ見ている。


壊れていく玩具。


崩壊していく精神。


彼女は、神に殺されかけている。




「――嫌…ッ!いやだァ!ああぁぁぁ――あああぁぁ、っぁぁああ」




封印は解けた。


そして。


神は目覚めた。


覚醒後の機嫌は、最悪のようだ。


三体の像から伸びた触手のようなものが次々にを拘束していく。


身動きが取れなくなり、次第に彼女の声も悲痛なものに変わった。




「――いやゃ、ゃ、ぁ…ぁぁッぁ、あああああぁッぁ。あああ!」




必死に足掻く。


拘束の緩い左腕を懸命に宙をさ迷わせる。


指先は空気を掴むだけで、希望にはならなかった。


触手は罪人を天に掲げるように高く持ち上げられ、


は十字架に縛り付けられるようにして怒りを受けた。


すでに瞳は何処を見ているのかわからないほど虚ろで、


最後に残った涙だけがただただ重力に従い地へと落ちる。




―― ごめんなさい




は、そのまま動かなくなった。




髪だけがただ風に揺れる。


虚無の瞳が開かれたまま遠くを見ている。














裁きは、下されたのだ――














その光景はまるで神に諍い、天罰を受ける堕天使のよう。


まるで石化したかのように動かない。


ケフカは察した。


そして笑みをより深くさせる。




彼女の役目は、ここで終わったのだと――




桜色の髪が風になびく。


ただ、それだけだった。




…?」




遅れてきた人物は、四人だった。


ロック、ティナ、


そして後から追いかけてきたというセリス。


全体を視野に入れてロックは目を見開いたまま呟いた。


目の前の情景を、どうやって消化すればいいのかわからない。


わかっているはずなのに、脳裏が理解しようとしたがらない。


ティナは体を震わせながら口を両手で押さえ、セリスも同じようにして表情をゆがませていた。


はぎり、と奥歯をかみ締めた。


鉄の味が広がった。




「よく、きたな…ファファ仲よく死にに来たか。だがここまで…見よ!この三闘神を!!」




ガストラはついに長年の夢を果たし、邪魔者が消え去ったこの瞬間を


待っていたかのように喜び、称えた。


裁きを下し終え落ち着きを取り戻しつつある三闘神はガストラの言葉に共鳴する。


その強力な魔力に触れて血が騒ぐ事を子供のように喜んだ。




「ガストラ皇帝!」


「セリスよ。さあこい。お前だけは特別だ。我がガストラ魔導帝国をきずくために


 ケフカとお前に新しい子孫を残す使命を与えようではないか!」


「その手でヤツらを殺せば裏切ったことを許してやるよ。


 この剣をとれ!そしてやつらを殺せ!」




ケフカは戸惑うセリスに強引にナイフを押し付ける。


のことが頭から離れないセリスはより一層不安に恐怖した。


裏切り者。


そう言われたときのなんともいえない罪悪感がよみがえってきた。









「さあ セリスよ いっしょに世界を支配しようではないか!」














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あとがき

91話更新。

ここでこの章を一時きりたいと思います。
次の章でとうとう崩壊前が終了です。
きちんと目処よく終わらせられるかな。
後悔だけは残したくないと思っています。
もう一度書き直すよつもりもないですしね。

次の章の名前は本当に悩みます。
今までどおりに数秒で決めるわけにはいきません。
いきませんとも…

ということでぽちり (殴)
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