Sunny place

















 02














と合流したクレスとチェスターの二人は、


先ほどゴーリと話していた事を伝える。


はそれに、2つの返事で了承した。





リーフェがみゃーと鳴き声をあげる。


はうん、と頷いてから右手を差し伸べた。


それにリーフェがぴょんと飛び乗る。




「猫様様だな」


「フシャァ!!」


「おっと…」




リーフェの爪がチェスターに伸びる…


が、が引き寄せた事で難は逃れたのだった。


が眉をひそめる。




「…チェスターのお兄ちゃん、機嫌…悪い?」


「んなことねーよ」


「実はね…」




悪戯っぽい笑みを浮かべたクレスがに耳打ちする。


親友の行動に止めはしないもののチェスターは不機嫌そうに目を細める。


リーフェの耳がぴくっと反応して、くすっとわらった…気がした。


それも鼻で…。




「昼ごはんに玉ねぎが入ってたんだって…」


「…ぇ、やっぱり?」


「今聞き捨てならない発言が………………………やっぱり?」


「…っ!」




後者を低い声で言ったチェスターの言葉には竦んでしまう。


チェスターはそんな彼女の頭に手を置くと、こういった。




「あのな、。これからアミィの奴が買いに来たら何が何でも阻止しろよ?それが俺のためなんだ」


「…ぅ、ん」


「おいおい、へんな事吹き込むなよ…。あぁ、ここから森に入ろう」




苦笑い気味のクレスが話題をそらす。


違和感がないところを見ると慣れてるな、と思うリーフェがいたりいなかったり…




とチェスターはクレスに促されるまま、森の中へと入る。


チェスターの機嫌はちょっぴり良くなっていた。









 +









森の中へ一歩足を踏み入れるとつんとした木々の香りが鼻をくすぐる。


三人はクレス、チェスター、そして一番後ろにと言う順番で、


獲物を探して森の中を歩いていく。


クレスは得意の剣術を使い前線で戦う。


チェスターは弓矢で後衛からのクレスの援護。


そして、は弓を使うものの弱点でもある後ろを守るかのように、


背後の敵を…。


誰が言い出したわけでもなくこの隊列で行動する。


…それは、それぞれがお互いの力量を認め合ってできるもの。


長いときをともに過ごしたクレスたちにとって、


それくらいは朝飯前だった。




「…あ!」




クレスは視界の隅に何かを写し取ったようで嬉しそうに声を上げた。


後ろの二人もクレスの視線を辿り、それを見つける。


…猪だった。


クレスが見つけたのは子供のボアだったが、


そのおくの木陰では子供ボアを見守るかのように、


目を光らせている。


クレスが嬉しそうな表情で、地を蹴った。




「よしっ、ふた手に分かれよう。はさみうちにするんだ!」




チェスターが声を上げる。


同意の意味も含めて、は走り始めたチェスターの後を追うように走った。









 +









にゃーとリーフェが鳴く。


だが、には『全く…』と、呆れている風に聞こえていた。


はグッと押し黙りながらも、歩みをやめない。




…そう、はぐれてしまったのだ。




『一体何度目…?』


「…………迷ったわけじゃないから、大丈夫」


『…もうっ。…で?逸れたときはどうするの?』


「“広いところに出るか、もしくは…”」


『“オカリナを吹く”…ね』




リーフェは起用に前足を叩くと、主人に吹くように急かす。


双方ともに、逸れてしまうことが前提にされているものだった。


予め言付けられているそれは一度や二度だからじゃない。


寧ろ日常茶飯事なこと…





は気が進まないのか、一時はむぅと唇を尖らしたが、


大きな朽ちている大木の麓まで歩み寄るとオカリナを取り出し…奏でた。










〜 ♪ 〜









精霊の森に笛の音が響き渡る。


とてもゆっくりとした旋律。


落ち着きがあって、それでいてどこか優しい音色。


ユグラシドルの木の麓。


がオカリナを吹いていた。











それは父がよく吹いてくれたという“子守唄”だった。









 +









たった今捕らえたばかりの猪の足を適当な蔓で縛っていたチェスター。


慣れた手つきでぐっと強く結ぶと、聞き覚えのある音に耳を傾ける。




「さて…」









迎えに行くかな…














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